出版社内容情報
はぐれ鳥のようにヨーロッパを漂泊する中年日本男児・豪介。豊富な取材が異国の街角にえぐり出す、痛切のロマン。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bo-he-mian
3
この漫画の凄いところは、作者の御厨氏がまるでパリに住んでいるかのように、圧倒的な臨場感と存在感をもってヨーロッパの町並みを活写している事である。描き込みもハンパではないが(何しろ漫画家を引退した原因に「腱鞘炎説」まであるぐらいだから)、単に絵が巧いというのではなく、空気感を見事に描いている。写真集や絵ハガキを参考にしただけではこんな絵は描けない。やはり現地に何度も足を運び取材したのだろうか。昨今の若い漫画家たちには、御厨氏の爪の垢を煎じて飲めと言ってやりたい。この描写力はいまだに孤高である。1985/07/27
kazmimagica
1
再読:「裂けた旅券」とは約30年前に出会い、コミック全巻を持っていたのですが、結婚を機に手放しました。5年前、東京下町の古書店で1巻、2巻に出会い、以後、出張がてら各地の古書店周ってようやく全7巻確保しました。 御厨氏の作品自体がレアなので、メディアファクトリー文庫版も飯田橋で一度だけ見かけたのみ。 日仏関係を含め、当時の国際情勢がよく分かる貴重なマンガだと思います。今読み返しても褪せることのないマレッタの魅力。改めて新装版とか、文庫版とか出ないですかね。時代を現在に移しての続編も期待したいところ。2017/10/28