出版社内容情報
浮世絵師・二代目広重の波瀾の人生を描いた力作「茶箱広重」を始め、人生の光と影を浮き彫りにする一ノ関圭の中・短編集。表題作ほかに「俺が愛した女」「陽炎街」を収録。
一ノ関 圭[イチノセキ ケイ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kokada_jnet
7
連作短編「茶箱広重」と短編「俺の愛した女」「陽炎街」収録。ニューロティックな現代物「陽炎街」がよかった。この人は、ストーリーよりも、とにかく濃厚な絵の魅力。2016/10/25
ぶんぶん
7
【再読】二代目広重、先代の娘と夫婦に。ところが娘は十二歳、広重三十三歳。義理の母は四十歳過ぎ、複雑な様相に…三代目が「二代広重」を名乗り通したため、世人は二代を茶箱広重と呼んだ。横浜から輸出された茶箱は重宣の初代ゆずりの花鳥風月で飾られていた。それを剥がして収集する西欧の浮世絵収集の発端である。2014/04/08
龍國竣/リュウゴク
0
二代目広重が主人公。初代広重が「東海道名所図会」や「江戸名所図会」を引用し、三代目広重も横浜の絵を二代目から引用するなど、他者の絵を無断で引用する事についての倫理観が話題に上る。物語の背後に作者のよく描く芯の強い女性が居る事も見逃してはならない。2014/03/11