出版社内容情報


大型選集「谷口ジローコレクション」第4弾
庭にある一本の欅の木。
自分が家に住む前から、そこで生きてきた木。
秋には落ち葉が多く、周囲の住民にも迷惑がられる。
この木を切り倒すべきか、男は決断を迫られる。
そんなとき出会った、この家の以前の持ち主。
大きな欅の木の下で、小さな人間の心が揺れ動く…
作家・内海隆一郎の名作「人びとシリーズ」から
谷口ジローが8編をセレクト。
市井の人々の暮らしを通し、
谷口作品の魅力である、美しい自然描写、
生命への畏敬、動植物との共生というテーマを存分に描いた傑作群。
人間の心の機微と、美しい庭木の佇まいが、
最高品質の印刷技法で鮮やかによみがえる。
サイズは迫力の大画面B5判。
最新のスキャン技術と最高品質の製本を駆使し、
谷口ジローの名作群が全く新しい姿で登場します。
世界中で数々の漫画賞を受賞した谷口ジロー、
初の本格選集! 第4弾『欅の木』をご堪能ください。
●各巻に購入特典として別冊小冊子『「紙」が語ること 谷口ジローの世界』を封入。今回の別冊小冊子では、関川夏央氏の連載「谷口ジローとの歳月」第4回を掲載。

※画稿
【編集担当からのおすすめ情報】
谷口ジロー史上最大規模となる原画展の国内巡回開始を機に、
(2021年10月16日~2022年2月20日、世田谷文学館。以下全国巡回予定)
待望の大判選集の刊行がスタートしました。
早速多数のご感想をお寄せいただいており、
「紙質が良く、印刷も美しくて、美術書のようだ」
「谷口ジローの細かいタッチは、大きな判で読むべき作品だと改めて思った」
「原稿の息遣いが感じられる本」
といった、非常に好意的な声をいただいています。
紙の本の魅力に溢れた「谷口ジローコレクション」を、ぜひお楽しみください。
内容説明
切り倒されそうな欅、生き別れた娘との再会、予期せぬ老いらくの恋…作家・内海隆一郎の「人びとシリーズ」から、谷口ジローが選び抜いた名作8編を漫画化。
著者等紹介
内海隆一郎[ウツミリュウイチロウ]
1937‐2015。名古屋生まれ。立教大学卒。出版社勤務の後、フリーの編集者を経て作家となる。1969年『雪洞にて』で文學会新人賞受賞。著書は、テレビドラマ化、教育図書への掲載が多数
谷口ジロー[タニグチジロー]
1947‐2017。鳥取出身。1970年代より青年コミック誌を中心に活動。『犬を飼う』で小学館漫画賞審査委員特別賞、関川夏央との共作『「坊っちゃん」の時代』で日本漫画家協会賞優秀賞、手塚治虫文化賞マンガ大賞等を受賞。1990年代半ばに『歩くひと』がフランスで紹介され、以後『遙かな町へ』、『神々の山嶺』(原作:夢枕獏)はじめ多くの作品がヨーロッパ、アジア、アメリカで高く評価される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
37
初版を持っているのだが、カラーイラストが入っている豪華版なのでいそいそと借りてきました。そして何度も読んでいるのに「彼の故郷」にまた号泣。は~この噺、すごく好きです。…「林を抜けて」が私の持っているものと少し違う気がする…?あとで確認してみよう。2024/08/31
ぐうぐう
34
谷口ジローコレクションで再読する『欅の木』。内海隆一郎の「人びとシリーズ」から谷口ジローが選んだ短編8作をコミカライズしている。内海の原作は未読だが、丁寧に踏襲した漫画化だろうことは伝わってくる。どうやら原作の地の文をナレーションとして活用しているらしいこともわかる。そのナレーションがストーリーを語っている分、谷口は画に集中できたのではないか。それほどに『欅の木』の絵は素晴らしく、魅力的で、唯一の存在感を放っている。(つづく)2022/02/11
テイネハイランド
10
図書館本。このコレクションシリーズは装丁がしっかりとしていてサイズが大きいので、谷口ジローの絵が存分に味わえて所有欲をそそります。この巻のマンガは全編原作が内海隆一郎さんが担当していて、内容は押しつけがましいところがない人情物語の典型で、谷口ジローの絵との相性もよくさらっと読めました。このシリーズは個人文学全集によくある小冊子が入っていて、その中にある村井理子さんのエッセイを面白く読みました。村井さん、色々な本の翻訳をしたり自分でエッセイを書いたりと、岸本佐知子さんと似た立ち位置の人でしょうか?2022/05/03
剛腕伝説
8
内海隆一郎原作、谷口ジローコレクション。 凄く穏やかな文章を書く原作者。心に染みる文体。 表題作【欅の木】老夫婦が引っ越した家には大きな欅の木があり、一時は切り倒すことも考えるが、その生命力や魂に触れ、共存することを決心する、表題作【欅の木】他 全てハートウォーミングな作品。2023/12/19
黒猫のダンゴ
2
日経なんでもランキングにランクイン故に手にする。内海隆一郎、谷口ジロー共に初読み。歳月を経るとは。人生とは。老人も子どもも男も女も、たくさん悩んで前に歩いているのだ。目の奥が熱くなる漫画であった。2023/07/23