出版社内容情報
珠玉の短編で綴る日本漫画の表現の歴史!
選者にいしかわじゅん、江口寿史、呉智英、中野晴行、村上知彦、山上たつひこ(五十音順)の6氏を迎え、日本の漫画を彩った幾多の短編の中より選び抜いたアンソロジーを編年体でお送りします。第二巻は1960年代後半から70年代を中心にセレクト!水木しげる、藤子不二雄A 、ちばてつやなどの巨匠達の知る人ぞ知る短編を収録!
【編集担当からのおすすめ情報】
いしかわじゅん、江口寿史、呉智英、中野晴行、村上知彦、山上たつひこが選んだ珠玉のアンソロジー。一筋縄ではいかない選者達がこれでもかと選んだ短編達。他ではなかなか見られない日本の漫画の多様性をお楽しみください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
25
1967年から1971年に発表された短編を収録した第2巻。選者である中野晴行が書いているように青年誌の創刊ラッシュが漫画界にカンブリア紀の大爆発を起こしたという指摘は、確かにそうなのだろう。いわゆる大人をターゲットとしたことで、それまで漫画家達を縛っていた壁がなくなり、描きたいものを描きたいスタイルで表現するのを良しとする、そんな環境下で様々な方法が試されていった。永島慎二の「ク・ク・ル・ク・ク・パロマ」は、その苦い結末よりも自在に変化するアングルにこそ目を奪われる。(つづく)2021/07/03
阿部義彦
15
佐々木マキ、ダディ・グースが何といっても新しさに溢れています。永島慎二、水木しげる、横山光輝、藤子不二雄などの大御所も楽しめました、追記として、作者何歳の時の作品かというのをしっかりと書いてあるのが何とも心憎いですね。宮谷一彦、やまだ紫、若さの過ちの顛末をそれぞれの視点で描いています。佐藤まさあき、半自叙伝的作品、戦争、差別、あまりにも悲しい真相に絶句。2021/11/23
剛腕伝説
12
1960年代から1970年にかけて活躍した漫画家の短編集。【ガロ】や【COM】で活躍した作家や、ちばてつや・横山光輝といった大御所の作品が収められている。正直言って、大御所以外の作品は難解で稚拙な印象を受ける。2023/04/04
フリウリ
9
水木しげる「妖花アラウネ」は、終わりそうで終わらなくて、なんとも妖しい。藤子不二雄A「ひっとらぁ伯父さん」のえぐりきった風刺。しかし、やまだ紫「しつもんがあります」の線がすばらしくて、うっとりしました。ダディ・グースがどうしようもなく古いのは、ダディさんが若すぎたからですね。72025/02/23
mittsko
8
第1巻ほどの衝撃はなかった。頁を繰る手がにぶり、読むのに少々苦痛を感じ苦労した。作品制作時の時代性が反映しているのか。左翼運動の挫折により、若者のあいだで小賢しい自我肥大とイやな虚無主義がはびこっていたように思われた。そんな中でも、佐藤まさあき「夕映えの丘に」と、つりたくにこ「彼等」の二作は、超時代的であり引き込まれて読めた。 ※ 所収の11篇の初出は1967~71年。本書「解説」で中野晴行が「戦後マンガ史のカンブリア紀」とよぶ数年の諸作品。作者は当時21歳から35歳。水木しげるだけが46歳と年長。2021/08/04