出版社内容情報
シャルルの逝去後、アンジュー公アンリがフランス王に。アンリを憎むマルゴはナヴァルにパリ脱出を勧めるが、ナヴァルはパリに留まり続ける。そんな中、アンリ国王の結婚が決まり…!?
萩尾 望都[ハギオモト]
著・文・その他
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あきぽん
54
16世紀フランス宮廷劇・最新刊。兄シャルルに続き、兄アンリも即位後色あせた男に成り下がる…。少年漫画が勇気や友情を描くのを得意とするのに対し、少女漫画は繊細な人間関係を描くのを得意とするとすれば、これはまさに少女漫画の神様によるものだ。登場人物達の思いのずれ・すれちがいを、恐ろしくリアルに浮かび上がらせる。当時も今も、こうして歴史は進んでいっているのだ。2018/03/08
はつばあば
43
日本の歴史も女が逞しい。日野富子がカトリーヌ・ド・メディチに似ているかも(#^^#)。マルゴってそんなに美人やったのか・・羨ましいけれど、母の駒ではねぇ。どちらにしろ男も女も節操っちゅうもんがない。なにがカトリックやユグノーや。日本の仏教も禅宗・曹洞宗・浄土宗・浄土真宗とようけあるけど・・日本での宗教戦争は無いと思うが・・。有り難いけどこれからはそうもいかんようになるかもなぁ2019/08/12
アーちゃん
37
シャルル九世の死、ポーランドから即位のために戻ってきたアンジュー公アンリ(アンリ3世)に服従の態度を見せつつ、結果逃げるナヴァルとそのナヴァルを愛していたことに気づくマルゴ。毒殺だの処刑だの裏切りだのと、中世のフランスは変わらず血腥い。その中で何度か登場するジャック(サバン)は今後どのような役割となるのでしょうか。2018/03/01
kaoru
29
物語が大きく動く6巻。歴史では「淫婦」とされたマルゴも萩尾先生の筆にかかると純粋でまっすぐな女性に、女好きで知られたナヴァルのアンリも真摯な人物として描かれる。プロテスタント対カトリックの戦いもさることながら、アンリ3世妃ルイーズや前王妃エリザベート、侍女フォスーズなど身分の高低を問わずこの時代の女性は哀しい。常に母カトリーヌの持ち駒として扱われるマルゴの行き場のない苦しみ。サヴァン=ジャックとアンリ3世の関わりは将来的な悲劇の予兆を感じさせる。マルゴの感情の高まりの描写がいつもながら見事で引き込まれた。2018/03/30
ぐうぐう
29
1巻でカラスが登場した。「カラスの羽ばたきが死を運んでくるのではなく 死のことを考えてるのであの羽ばたきが聞こえるのでしょうか」最新巻では、アンリとルイーズの挙式をコウモリが襲う。それぞれの鳥は、暗示としてある。権力闘争や宗派対立にまきこまれながらも、マルゴはナヴァルへの愛を貫こうとする。「血……血かもしれない わたしも…血がたぎる でも わたしの血は戦争ではなく 愛に向かうの」ヴァロア家の血の激しさすらも、マルゴは愛に向けるのだ。しかし、まだマルゴは知らない。強すぎる愛こそが、憎しみの源となることを。2018/03/21