出版社内容情報
月山の麓で500年以上続いてきた農民たちの秘祭を、初めて村の内側から描いた貴重な記録。黒川能に関する決定版ともいうべき一冊。
内容説明
半世紀前の庄内に、理想郷はあった。月山の麓に500年以上続く悠久の王祇祭。黒川村の内側から哀惜こめて描き上げた、女性編集者による感動の記録。
目次
1964年東京オリンピックの年、黒川能に出会う
十一月、黒川村を訪ねる
十二月から1965年のお正月を迎える
王祇祭まで一か月、一月三日の「興行」
一月十七日、春日神社の「十七夜祭」
豆腐炙りと子供たちの能の稽古
榊屋敷の神事・原初の風景
振舞の準備が進み、当屋は神宿に整えられていく
二月一日、王祇様が春日神社から雪道を当屋に降る
稚児の「大地踏」、翁の「式三番」
「暁の使い」登場、明け方まで演能はつづく
王祇祭二日目、王祇様が春日神社へ還る
若者たちの尋常事の熱狂が祭りを盛り上げる
二月四日「解行」、王祇祭は終わり、そしてまたはじまる
黒川にめぐる季節・冬から春へ
黒川にめぐる季節・春
黒川にめぐる季節・春から夏へ
黒川にめぐる季節・秋
黒川人の一生を想う
著者等紹介
船曳由美[フナビキユミ]
東京都出身。1962年東京大学文学部社会学科卒業。平凡社入社。雑誌「太陽」に創刊時より関わり、全国各地の民俗、祭礼、伝統行事を取材、後に単行本にする。85年平凡社退社。86年集英社入社。99年、定年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゴロチビ
4
まだ四月だが、今年のマイベスト本に入れたい本が出来た。格調高い真壁仁の詩に導かれて読者は五十数年前の東北の農村に若い女性編集者となって迷い込む。農民が暮らしと供に500年守り継いだ黒川能の世界は確かにユートピアとして目の前に広がる。現代ではとうに喪われているからこそユートピアなのだ。著者の黒川への敬意と愛着にも好感が持てる。日々の農作業と紫外線に鍛えられた骨格逞しい庄内のだだちゃ達が舞い奏でる能を是非観たいが、とりあえずDVDで我慢しよう。やはり"他人様の神事に押しかける"ような事はしたくないと思うから。2020/04/13
takao
1
ふむ2020/11/29
しまちゃん
1
1964年、山形県黒川村での「黒川能」を通して、黒川村での季節の移り変わりを写真入りで分かり易く一冊の本にしています。日本、日本人の「理想郷」の光景がそこにあります。農村での生活と「黒川能」が色々な面で繋がっています。カメラが入ることを拒んでいた黒川村に初めてカメラが入って、一緒に生活することで完成した本です。読んでいて、その場の情景が頭に浮かんで来ます。多くの人に読んでもらいたい本です。2020/06/18