ジャスミンの残り香―「アラブの春」が変えたもの

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ジャスミンの残り香―「アラブの春」が変えたもの

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  • サイズ B6判/ページ数 250p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784087890051
  • NDC分類 302.28
  • Cコード C0031

出版社内容情報

宗教勢力の反動を呼び、中東を未曾有の混乱に陥れた「アラブの春」は徒労だったのか? 革命の意味を模索しつつ、3.11後の日本を考えるうえでも示唆的な内容を含む、2014年度開高賞受賞作品。

内容説明

この出来事は日本人にとっても、決して対岸の火事ではない。三十年近くにわたり、アラブ世界を見続けた気鋭のジャーナリストが中東民衆革命の意味を問う!「革命」は徒労だったのか。2014年第12回開高健ノンフィクション賞受賞作。

目次

第1章 すべては徒労だったのか―再びタハリール広場へ(二〇一四年一月)
第2章 ジャスミンと紫陽花―「あなたは何者なのか」という問い
第3章 独裁者と盆栽―内戦初期のシリア潜入記(二〇一一年十二月)
第4章 「アラブの春」から「イスラームの春」へ―広場よ、君はどこに行っていたんだ(二〇一三年一月)
終章 強さ

著者等紹介

田原牧[タハラマキ]
1962年生まれ。87年、中日新聞社入社。名古屋社会部、カイロ支局勤務などを経て、現在、東京本社(東京新聞)特別報道部デスク。日本アラブ協会発行・季刊『アラブ』編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

59
第12回開高健ノンフィクション賞受賞作。チュニジアで一人の貧しい野菜売りの青年が警官に暴行され、抗議の焼身自殺を図った事件を契機に起こった「ジャスミン革命」。アラブ各国に席巻していったこの「アラブの春」という激動の始まりから、その後のイスラーム武闘派の復活による「イスラーム国」の建国宣言まで、この地で取材を重ねてきた田原氏がリポートする。ちょうど、日本では紫陽花と命名された日本の脱原発運動が起こっていた。「間違っている」と声を上げても無視されるような体制の下では、人は自らの存在を確認するために怒らねばなら2015/07/08

ころりんぱ

46
中東の事、ほとんど知らなくて、アラブの春とかジャスミン革命とか、イスラーム国の事、すごく難しかった。ただ、日本とは全く違う政治環境、宗教感覚の地域であることは文章を追えば分かるし、どうやって革命や内戦が行われてきたか、市井の人々の変化、そして現在の不安定な状況もなんとなく知ることができた。世界の平和は大事だけど、日々変わっていく中東の情勢を全て把握することはその道のエキスパートでも無理だと思うし、そこに事あらば自衛隊を派遣なんて事になったら誰が責任をとれるんだろうか?無茶でしょ?と思った。2015/03/26

ねこ

20
読み応えのある本でした。今まで中東に関する本や記事をいくつか読んできましたが、この本に関しては著者がしっかり現場に行き目で見て肌で感じたことが書かれてるのですごく良かったです。日本についても絡めて書いてあるので、中東だけでなく自国についても考えさせられる一冊となりました。2015/02/06

ハチアカデミー

15
チュニジアの「ジャスミン革命」から派生した「アラブの春」は、中東~北アフリカの国々をどう変えたのかの報告。独裁政権への不満が革命の火種となり、国民の声は政権を打倒した。しかし、その革命が他国へ派生していく中で、複雑な各国の事情、諸外国の事情と絡み合いながら、政治に利用されてしまう。そして、やがてイスラム原理主義者にとっての春ともなってしまう。「時代の渦中においては、危うい一線は踏み越えてからでなければ気づかない。日本社会も戦争と徹底した不服従の時代に入りつつある」という言葉が、いま、強く説得力を持つ。2015/02/05

RED FOX

11
2011~2014年の中東各地のルポと所感。かなり生活に根差した取材のよう。ジャスミン革命の後の混乱の臨場感がすごい。私なら初日で死んじゃう。「・・・しかし、負け続けられる民衆がいる限り、そこで歴史が潰えてしまうことはない。つまり、永久の不服従には終幕としての敗北が存在しない。どこまでも人間を鍛え、どこまでも未来へと歴史の糸を紡いでいく。」2018/11/07

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