牛と土―福島、3.11その後。

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  • サイズ B6判/ページ数 269p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784087815672
  • NDC分類 645.3
  • Cコード C0095

出版社内容情報

東日本大震災で被曝地となった福島で、殺処分を受け入れず被曝した牛を生かそうとする牛飼いたちと、帰還のため土壌の調査に奮闘する研究者を通し、失ったものは何かを問いかけるノンフィクション。

内容説明

東日本大震災から2ヵ月を経過した5月12日、警戒区域内の家畜に対して殺処分の指示が言い渡された。処分を受け入れられない一部の牛飼いは、牛たちを生かすべく力をそそぐ。困難を極める餌の調達、警戒区域への立ち入りをめぐる行政との攻防。やがて、荒れ果てた農地での放牧が、農地の保全、ひいては土地の除染の可能性をもつことが判明し、牛飼いたちは生かされざるべき牛たちが生きる意味を見出していく。

目次

安楽死という名の殺処分
警戒区域の牛たち―餓死でも安楽死でもなく
飯舘村の牛たち―人も牛も姿を消した
飛散した放射性物質―土と動物の被曝
放れ牛と牛飼いの挑戦―牧柵の内と外…牛の生と死
ふるさとを遠く離れて―牛の時間と人間の時間
牛が生きつづける意味―牛飼いを支援する研究者
被曝の大地に生きる―家畜と野生の狭間で
帰還困難区域の牛たち―牛が守るふるさと
検問を越えて牛の国へ―牛が教えてくれたこと
牛と大地の時間

著者等紹介

眞並恭介[シンナミキョウスケ]
ノンフィクション作家。1951年、大阪府茨木市生まれ。北海道大学卒業。出版社・編集プロダクション勤務を経て、92年にライブストーン株式会社を設立、代表取締役。主に医学・医療分野の雑誌・書籍の編集・出版に従事。2002~14年、毎日新聞大阪本社特約記者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

134
表紙とタイトルが秀逸ながら、文章や構成にまとまりがない。しかし想いは伝わる。安楽死に関わる人と、牛を生かせようとする人。牛の死の原因は、安楽死以外ではら餓死、病死、事故死。どれが真っ当な死に方なのか?食肉として殺される場合?生かそうとする人々は、自分なりの基準を模索しているようでも、確固たる自分の良心が決めた基準があるのだろう。放射能で汚染された土地に生えた草を食べる牛の肉は確かにこわい。だがPM2.5を大量に含んだ雨が降る土地に住む私達の食べているものは、それに比べてどれほど安全なのか。それを強く思う。2016/11/27

おかむら

50
福島の放射能汚染地域に取り残された牛たち。犬猫などカワイイペットのことは何度か報道で見たこともあったけど、家畜の多くが殺処分されてたとは知らなかった。知ろうともしてませんでした。そして農家が処分に同意せずまだ飼われてる牛たちのことも。そしてその役割も(ここか目ウロコ!)。牛の食欲スゴイ役立つ! 国や東電はもっとちゃんと見て現実を!2016/04/14

百太

37
読みたかった本です。現在公開中(場所によっては公開予定)の被災3県の人たちのドキュメンタリー映画 『一陽来復 Life Goes On』 http://lifegoeson-movie.com/ で福島の牛飼いさんや稲作農家さんの語っている姿に涙しました。 悔しだろうに強いなぁって。農業、牛飼いを大事にしている人達をきちんと書いた良本だと思います 2018/03/17

けんとまん1007

34
牛を代表としてとらえた時。家畜として殺処分された、その数は計り知れない。いったい何故というのは、いろいろなところで語られてきた。そんなところも含め、ある域、淡々と記されている事実は、とても重いものがある。そして、それらを育む象徴としての土の存在。多少、自分で野菜を作っているので、土に対する思い入れはあるつもりなので、余計に、身に沁みる。そんな牛・土だけでなく、中で出てきた高校生の言葉が痛々しい「私は結婚できるんですか?子どもを産めるんですか?」の問い。命というものを考えざるを得ない。2016/01/11

masa

33
衝撃的な本だった。私が住む宮城の隣県福島に人の住めない地域があることは知っているが、その広さが東京23区規模と聞くと絶望的な気持ちになる。そこには殺処分をさせなかった牛に新たな価値を見出だして被爆を覚悟で通い続ける酪農家達がいる。食用として生まれた牛が遥かに長い命を生きている現実はブラックジョークにしてはキツすぎる。数ある震災関連本の中でも特異な視点で震災を切り取ってみせた渾身のルポ。一読をお薦めしたい。160532016/04/24

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