出版社内容情報
国境を越えて遺体を家族のもとへ送り届けるのが国際霊柩送還士の仕事。日本初の専門会社で働く人々と遺族の取材を通して、筆者は人が人を弔うことの意味、日本人としての「死」の捉え方を知る。第10回開高健ノンフィクション賞受賞作
内容説明
運ぶのは遺体だけじゃない。国境を越え、“魂”を家族のもとへ送り届けるプロフェッショナルたち。2012年第10回開高健ノンフィクション賞受賞。
目次
遺体ビジネス
取材の端緒
死を扱う会社
遺族
新入社員
「国際霊柩送還」とはなにか
創業者
ドライバー
取材者
二代目
母
親親父
忘れ去られるべき人
おわりに
著者等紹介
佐々涼子[ササリョウコ]
1968年神奈川県横浜市出身。早稲田大学法学部卒業。日本語教師を経てフリーライターに。新宿歌舞伎町で取材を重ね、2011年『たった一人のあなたを救う駆け込み寺の玄さん』(KKロングセラーズ)を上梓。2012年『エンジェルフライト―国際霊柩送還士』で第一〇回開高健ノンフイクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
573
海外からの遺体の搬送にたずさわる、国際霊柩送還会社。文字通り”密着レポート”だ。「葬儀は悲嘆を入れるためのの”器”だ」という視点が面白い。その葬儀を遺族の身になって整える一助を、この会社が担っている。『紙つなげ~』を読んでからこの本と巡り合った。佐々さんの人間への迫り方に感動した。2025/03/11
ミカママ
346
読メのみなさんの感想を読んで、気になっていた作品。帯にある「運ぶのは遺体だけじゃない。」が、内容の大部分を表している。海外で大事な人を亡くした家族の痛み、そして遺体の尊厳を守ろうとするプロたちの物語。かくいう私も、死んだら日本の土に還りたいです。そのままでは大変そうなので、火葬してもらって、物語中あるように、タッパーウェアに入れてもらって帰国しよう、と決めました。2015/01/26
kinkin
304
海外から戻ってくる遺体、海外へ送り出す遺体。それぞれ遺族の心情を配慮した仕事ぶりに感動した。死んでからの人への尊厳について深く考えさせられた。エンバーミングという言葉は知っていたが、その詳細についても知ることが出来た。お薦めの一冊。2014/04/09
hiro
285
『エンジェルフライト』という題名だけでは、本の内容はピンと来ないが、副題の『国際霊柩送還士』とあわせると想像がつくのではないか。国際間での遺体・遺骨の搬送を専門に扱う国際霊柩搬送会社のエアハース・インターナショナル社を取材し書かれた本で、開高健ノンフィクション賞受賞作。以前から、先輩が海外旅行中に急死されたことがあったので、国際霊柩送還に関心があった。でも実際本を読むと、習慣や宗教が違う海外から、遺族のもとにただ遺体を届けるだけでなく、できるだけ生前の姿に近い姿で届けるプロの姿には、職業とはいえ感動した。2013/01/27
Nobu A
278
佐々涼子著書2冊目。作家との出会いは今春読了「エンド・オブ・ライフ」で。先日の訃報を聞き、慌てて代表作数冊購入。その一冊目。既読書から佐々涼子の「死」に対する真摯な向き合い方が分かる。と言うか更に理解した。彼女だからこそ国際霊柩送還士と言う社会的に認知されていない職種に光を当てることが出来たし、取材も許されたのだと思う。自身の葛藤や苦悩も綴られ、延命治療と胃瘻や紛争と無関心等、様々な事を考えさせられる箇所もあり心が揺さぶられずにはいられない。相変わらずの丁寧で優しい筆致。天国でお母様に再会されますように。2024/09/18