出版社内容情報
骨を巡る小説とノンフィクションが一冊に。
芥川賞作家が魅せられた「骨」。骨に関する仕事をする人たちに取材するうちに生まれた小説。それと表裏一体のノンフィクションを一冊にまとめた、新スタイルの極上エンターテインメント。
内容説明
芥川賞作家が魅せられた「骨」。骨に携わる仕事をする人たちに取材するなかで生まれた小説。それと表裏一体のノンフィクションを一冊にまとめた、新スタイルの極上知的エンターテインメント。
目次
1部 フィクション―空に舞う君へ
2部 ノンフィクション―骨格標本になった人類学者(化石;足跡;解剖;標本;語りだす骨たち)
著者等紹介
藤原智美[フジワラトモミ]
1955年、福岡市生まれ。『運転士』で第107回芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
51
特別教室に通う兄をもった弟の話「空に舞う君へ」と、ノンフィクション「骨格標本になった人類学者」とを1冊にまとめたもの。巻末には国立科学博物館新宿分館に保管されている骨の写真が掲載されています。フィクションの「空に」の方は様々な時代が前後していて若干混乱しましたが、やり切れなさとか激しい後悔が渦巻いていて、著者の本は初読みでしたけどなかなか読み応えがあってよかったです。ただノンフィクション部分の「骨格標本」の方は専門的な部分もあって理解するのがちょっと難しかったかな。★★★2012/12/31
優良児
1
フィクション・ノンフィクションの二部構成。 どのアプローチから攻めても骨は興味深い、それもそうかなと思えた。蝶形骨を飛ばす風習が実際にあるのかは分からないけど、民俗学・哲学的な骨の見方が私にはハマった。実体のあるものが幻想と混ざって異界に消えていく。ふわふわして大好き。小説と思って手に取ったが、フィクションから始まって興味が湧いた頃に丁寧な後書きが現れて、疑問を埋めていくように自然と勉強させられた。骨を見て生を想う。完結した物語を読み解くような感じなのかな。2024/10/22
烏骨鶏
1
骨の小説と、骨のノンフィクションとの二部構成。小説の方は子供の葛藤がしんどかったが、ノンフィクションの方は大変興味深かった。古代のものでなく、つい最近(てほどでもないけど)生きていた人が、学術の為に人体標本となることを希望したということに感銘を受けた。分子や情報から読み解く学問が盛んだが、今ここにある「モノ」の重み、体感、そしてそこから見いだせる様々な事実が、ここまで歩んできた学問の礎だったのだし、これからもそうであって欲しいと願う。2023/08/26
のすけ
1
第一部が骨を巡るフィクション小説、第二部がノンフィクションという構成になっている。第一部に妙なリアリティーを感じながら読んでいたが、第二部を読んで納得。2013/03/12
すがやん
1
フィクション・ノンフィクションの二部構成というのは面白い。生の不在の証明であり、生への想像をかき立てるものとして、骨を見つめていく。日本人の宗教観を意識して作ったような小説の方は、結構楽しめたのだが、ノンフィクションの方はなんだかバラバラとした感じでいまひとつ。興味深いテーマだったので残念。2011/09/19