内容説明
心あたたまる感動のノンフィクション絵本。
目次
遠い旅のはじまり
昔のバナナには力があった
地図のない旅
ライラックの花
白血病との闘い
忘れられない思い出
希望を抱きしめて
旅を終えて
著者等紹介
鎌田実[カマタミノル]
1948年東京都生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。1974年、長野県の諏訪中央病院に赴任、その後院長をへて現在管理者一貫して「住民と共に作る医療」を実践。チェルノブイリの救済活動にも参加し、ベラルーシ共和国フランチェスカ・スコーリヌイ勲章受章
唐仁原教久[トウジンバラノリヒサ]
1950年鹿児島県生まれ。1984年デザイン事務所Happy Birthday Company設立。1985年HB GALLERY開廊。現在イラストレーター、またアート・ディレクターとして、広告・装丁・雑誌などを中心に多くの作品を手掛ける
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Comit
51
市立図書~チェルノブイリ原発事故による、死の灰が含まれる雨が大地を穢し、生活する人達の未来を奪う。この本は著者自身が医師として救済活動に従事した際に出会った1人の少年と家族との物語。タイトルの意味を知り、心が温まる。人の優しさは伝染する。巻末で著者が触れられているとおり、大人のための絵本。是非みなさん、読んで欲しい。別の本で紹介されていた1冊。よい出会いでした✨2021/10/03
Nobuko Hashimoto
34
チェルノブイリ原発事故から34年。事故の起こった4月26日あたりには、関連するものを読んだり授業で取り上げたりしている。本書は、被害の大きかったベラルーシで医療支援を続けている鎌田医師による、実話をもとにした「大人のための絵本」。タイトルは、涙なしには読めない逸話を象徴している。日本やドイツのボランティアが白血病の子どもの病棟にもたらした明るさの逸話も尊い。「希望を組織することが大切なんだと思った。希望はあるものではなく、つくるものなのかもしれない」「希望があれば絶望のなかを人は生きていけると思った」2020/04/30
Roko
33
ベラルーシはチェルノブイリのすぐ北側で、放射能汚染を強く受けました。赤ちゃんの時に黒い雨にあたってしまったアンドレイは白血病になって、余命いくばくもない状態になってしまったのです。日本からやって来た看護師のヤヨイさんは、アンドレイが食べたいと言っていたパイナップルを求めて、零下20度の町を探し歩きました。その話を聞きつけた親切な人のおかげで、パイナップルの缶詰が手に入ったのです。でも、病魔は去ってくれず、彼は亡くなりました。国のエゴのために亡くなってしまう彼のような子が、今も世界中にいるのです。2024/10/04
かさお
33
1986年ベラルーシの田舎町、我が子に美しい春の自然を見せたくて、晴れた日も雨の日も毎日散歩をした母さんは何も知らなかった。隣の国の原子力発電所で爆発が起きた事を。広島に落とされた原爆の500発分に当たる放射能。子供達は死の灰の祝福を受けた。そして私は知らなかった。日本の医師や看護婦が子供達を救う為に懸命に活動していた事を。食事を取れず衰弱していく子供が欲しがったパイナップルを、ヤヨイさんは−20℃の雪の町で毎日探し歩き回った。貧しい国の2月、あるはずも無いのに。しかし噂が広まり缶詰がある日病院に届いた→2021/03/23
のんちゃん
25
先月読了の『あの日、小林書店で。』の中で主人公がお薦めしていた絵本。と言っても所謂子供向きの絵本ではなく、大人の読書にも十分応えてくれる作品。チェルノブイリ原発事故で白血病に侵された少年と日本医師団、看護師さんの物語。人は言語、歴史、文化や宗教が違っても理解し合える事がある、という事が本書の根幹だろう。でも私は著者で医師の鎌田先生があとがきの様な頁に書かれた「幸せは、もしかしたら、幸せをめざしているプロセスのなかにあるのかもしれない」という逆説めいた一文に惹かれた。幸せの可能性を考えられる作品でもある。2025/03/18