内容説明
江戸は「夜明け前」などではない。日本近代の基礎となる文化やシステムが生まれ育った時代だった。江戸への造詣の深さでは人後に落ちぬ作家と国際関係史の専門家が、江戸の魅力について、心ゆくまで語り合ったおもしろ対談。徳川265年の平和はいかに保たれたのか?江戸に学ぶ。
目次
第1章 パックス・トクガワーナへの道―秀吉から家康へ
第2章 江戸開府と徳川三代―家康・秀忠・家光
第3章 保科正之―「守成」を担った将軍輔弼役
第4章 五代将軍綱吉の夢みた理想と現実―元禄再考
第5章 幕末へのカウントダウン―三大改革の時代
かぐや姫からモンテーニュまで―歴史を語り合う楽しみ
著者等紹介
山内昌之[ヤマウチマサユキ]
1947年札幌市生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。国際関係史とイスラーム地域研究を専攻。1971年北海道大学卒業後、カイロ大学客員助教授、トルコ歴史協会研究員、ハーバード大学客員研究員等を経て、1993年より現職。学術博士。サントリー学芸賞、吉野作造賞、毎日出版文化賞、司馬遼太郎賞などを受賞
中村彰彦[ナカムラアキヒコ]
1949年栃木市生まれ。作家。1973年東北大学文学部卒業後、1991年まで文芸春秋に勤務。1994年『二つの山河』で第111回直木賞を受賞。主に江戸期から明治期にかけて題材をとった小説・評伝を手がける
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感想・レビュー
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脳疣沼
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対談形式なのに、結構込み入った話をしていて、内容は濃い。現代の視点から過去の偉人を断罪していく行為は、昨今ではルール違反と言った感じが強いが、この本ではあえて、著者の好みを強く反映させて、ズバズバと切っていく。2014/04/08
シュラフ
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江戸時代に対する評価を対談形式でまとめている。 まず家康。豊臣家をだまし討ちした悪人イメージである。だが、当時は朝鮮出兵の後片付けも済んでおらず、実は明国と南蛮が連合した場合は大きな脅威となる懸念があった。家康は、戦争処理外交を行うと同時に新教国との結びつきにより対抗した。 そして綱吉。生類憐れみ令で評判は悪いが、必ずしも暗愚ではなかったという。実は当時は水戸光圀でさえ、夜お忍びで試し斬りするような殺伐とした時代。生類憐れみ令で生命を大事にしようとする発想は理解できなくない。 2013/03/17