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内容説明
新彊(東トルキスタン)は、東西文明の結節点であり、古来より諸民族興亡の地であった。清代から中華人民共和国誕生にいたる近代の歩みを探り、秘められたこの地の歴史を初めて明らかにする。
目次
第1章 トルキスタンの成立
第2章 清朝とジュンガル帝国
第3章 同治の回乱とロシアの南下
第4章 左宗棠の新彊回復
第5章 大馬の逃亡―ふたたび回教徒大反乱
終章 東トルキスタン共和国の夢
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
古本虫がさまよう
4
シルクロードで知られる新疆の歴史を紐解き、清朝期以降の近代史、国民党と共産党との国内対立(内戦)によるウイグルの置かれた複雑な環境を視座に起きながらの解説書。 著者が、ある名誉教授からこんな話を聞いたそうな。新疆から留学したウイグル人女性がいて「まわりに中国人が一人でもいる時は黙っているが、中国人がその場にいなくなると、いかにウイグル人が漢族に圧迫され、蔑視されているかを泣く泣くかき口説くのだそうである」と。 名誉教授は彼女に同情し、私(今谷)に向かって日本人として何とかしなければと言ったとのこと。2021/04/09
Hatann
3
漢民族が西域経営を確保していたのは前漢の時代ぐらいだが、19世紀に生じた漢民族と回教徒との間で頻出した殲滅合戦がトラウマになったのだろうか。回教徒といっても多くは甘粛・陝西・雲南に居住していた東干(漢民族の回教徒)であったようだ。中華人民共和国建国当時はまだトラウマが民族的記憶として生々しく残っていたかもしれないし、新疆の地政学的な重要性も今以上に大きかったと思われる。漢民族同士の殲滅合戦が原理主義的なものを原因とするとみなされれば、軍事的な意味のみならず内戦防止の観点からも重視されることだろう。2018/09/13