出版社内容情報
孤独で辛くて怖いのは、この世で自分だけだと思っていた。
東京生まれの秀才・佳乃と、完璧な笑顔を持つ美少女・叶。
北海道の中高一貫の女子校を舞台に、やりきれない思春期の焦燥や少女たちの成長を描く、渾身の書き下ろし青春長編。
北海道に新設されたばかりの中高一貫の女子校・築山学園。進学校として全国から一期生を募り、東京生まれの宮田佳乃は東京からトップの成績で入学した。同じクラスには地元生まれの成績優秀者・奥沢叶がいた。奥沢はパッと目を引く美少女で、そつのない優等生。宮田はその笑顔の裏に隠された強烈なプライドを、初対面のときからかぎ取っていたーー。
【著者略歴】
安壇 美緒(あだん みお)
1986年北海道生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。2017年、『天龍院亜希子の日記』で第30回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。本作は2作目の著書。
内容説明
北海道に新設されたばかりの中高一貫の女子校・築山学園。宮田佳乃は東京からトップの成績で入学した。しかし新入生総代に選ばれたのは地元生まれの成績優秀者・奥沢叶。奥沢はパッと目を引く美少女で、そつのない優等生。宮田はその笑顔の裏に隠された強烈なプライドを、初対面のときからかぎ取っていた―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hiace9000
163
『ラブカ…』以前の安壇作品。少女時代に特有の内に向かって閉鎖的な自己、学校という閉鎖的聖域と、その中で鬱屈や屈託を抱えながらも、光ある未来へ踠き進もうとする繊細で直向きな熱と、挫折との対峙。まさにこの世代のリアルな心の機微を、揺れや煌めき、嫉妬や翳りまで含め見事に描き上げる手腕。安壇さん、こんな素敵な作品があったことを今さらながら知り、感嘆! 読後「メテオラ」を検索。"奇岩群の上に建てられた俗世から切り離された修道院"と…。そこでやっとタイトルが含意する作品世界とタイトルの秀逸さを悟り、さらに感嘆! 2023/05/21
モルク
128
北海道の新設の中高一貫女子高に入学した東京から来た宮田と地元生奥沢。成績抜群の宮田はコンクールで入賞するほどのピアノの腕前であるが父の意思でこの学校に入学、奥沢は母子家庭で学費免除の秀才で容姿端麗。成績に関して常にライバル意識を持ちながらの12才と17才の時を描く。それぞれに家庭に関して深い悩みを持っているが本音で話すことがない二人。自分をさらけ出せたならもっといい関係が築けたんじゃないか?そしてこんなに美しい奥沢が母の恋人の餌食になるかも、時枝先生と恋が芽生えるかと勝手に老婆心も。その後も知りたい。2022/12/06
おしゃべりメガネ
125
本屋大賞ノミネート作品『ラブカ~』の実力はやはり伊達ではなかったと再認識できる安壇さん作品でした。舞台は北海道の外れにある中高一貫の女子高で、謎めいたキャラ二人をメインに少し陰りのある青春物語が展開されます。ワケあって東京から一人できたピアノ弾きの「宮田」と絶対に他の生徒にあらゆる意味で負けるワケにはいかない首席の「奥沢」、この二人を中心に周りのクセありキャラも交わっていきます。最初はそれぞれがギクシャクしていた面々も高校2年にはすっかりそれぞれのキャラを理解し、なんとなく仲良しな雰囲気な良かったですね。2023/06/04
ぶち
98
読友さんのレビューで無性に読みたくなった作品です。世間から隔絶されたメテオラ(修道院)のような学校で共に育つ少女たちの物語。コンプレックスゆえに仮面をとることができない奥沢叶と、根強い"一番"への執着を手放せない宮田佳乃の二人が主人公。お互いを苦手としながらも強烈に意識し合っています。著者の安壇美緒さんはそんな二人の心理を繊細に描いていて、焦燥を抱いていた中高生時代の自分を思い出してしまいました。脇役たちも魅力的です。爽やかな友情で接してくれた森みなみと北野馨。寮母の杉本さんや時枝先生のような大人たちも!2023/09/17
ゆみねこ
93
北海道に新設された中高一貫校築山学園。成績優秀な2人の少女、東京からトップの成績で入学した宮田佳乃と地元から入学した美少女・奥沢叶。互いに家庭に問題を抱え、友達には言えない秘密を持つ。ライバルへの嫉妬、自分の将来への不安、思春期の少女たちの成長が眩しい。2023/01/13