内容説明
15世紀末フランス。時の権力者ルイ12世の離婚申し立てに、王妃ジャンヌ・ドゥ・フランスは徹底抗戦の構えを示す。弁護側証人までがルイ側に寝返る汚い裁判。ジャンヌの父、悪名高い暴君ルイ11世に人生の奈落に突き落とされる苦い過去を持つフランソワだったが、裁判のあまりの不正ぶりへの怒りと、王妃の必死の願いに動かされ、遂には長い長い逡巡を振り切り、王妃の弁護人を受け入れる。崖っぷちからの胸のすく大反撃!法廷サスペンスの書下ろし傑作巨編。
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K’s本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
31
皇族の婚姻と、修道士の純愛。「裁判」というプロセスを通して、15世紀の概念を描写。複雑に絡まる人間模様と、真実の追究。他人を憎むことから、次第に自分に向きあう。切れ味鋭い法廷戦術と対峙し、この心の動きと(最後に)自身を受け入れる場面が、より印象的である。オーエンの気持ちももれなく伝わる。ラテン語とフランス語の”使い分け”の場面は思わず笑う。これも立派な法廷戦術だ!こういった点でも、人間味も感じる。2012/10/18
Our Homeisland
29
直木賞受賞作ということで読みました。読み始めて最初の方は、とっつきにくく読みにくいという印象でしたが、読み進めるうちに、中盤あたりからどんどん面白くなってきて、楽しみながら読み終えることができました。なかなかよくできた小説だと思います。2017/03/29
hanagon44
20
自分の信じる道を,自分が譲れないと思う事を貫く人の姿は,見る人の心を打つものだと改めて感じました。15世紀末のフランスが舞台ということで,イメージを捉えるまで少し時間がかかりましたが,傷つくことを恐れず,傷ついても闘いから逃げず,正面から立ち向かうそれぞれの立場の人々の姿に勇気をもらい,力づけられました。また冷静に自分を見つめ,容赦なく分析し,自分と向き合うことから逃げない主人公のフランソワの内面の描写が,感情や気持ちを考えるときに違った視点をもたらしてくれるような,ザワザワする刺激をもらいました。2014/09/30
あまりりす
12
第一章で手こずりました、フランソワの傲岸な態度が鼻につきすぎて。慣れてきた頃に物語も展開し、大変面白く読み進めることが出来ました。想像はしていましたが、ラストがとても良かった!2014/02/17
80000木
11
こりゃあ久々に大当たり。他の佐藤賢一作品も読まなければ。痛快痛快。そろそろ主人公がピンチになるやろな…そろそろ主人公が窮地に陥るやろな…と思いながら読んでたら、大して下がることなく完勝。なんというサクセスストーリー。楽しい。2017/05/13