内容説明
あのころもこれからも、きっと宇宙にまで、あなたと少年の心臓を貫いて、川は流れているんだ。『川・少年小説』というニューウェーブからの贈り物。
著者等紹介
川端裕人[カワバタヒロト]
1964年7月26日、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。東京大学教養学部卒業。科学史、科学哲学を専攻。1998年『夏のロケット』(文春文庫)で作家デビュー
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感想・レビュー
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あじ
34
仕事に追われる現代人の私たちには、子供時代の思い出を振り返る余裕はなかなかありません。今ほどに明日への不安も抱かず泥のように眠れたあの頃。狭い人間模様でありながらも、ガラスの心を曇らせ、磨き、時には不本意に割られ、私たちは大人への階段を上りました。思い出は計り売りしてもらえません。一緒に居た人と共有出来ます。泥棒にも盗めないし、無一文になっても残ります。思い出があるからこそ、未来を生きれるのかもしれません。この作品は小学生の男の子の回想。私は友達の顔を思い出しながら、懐かしい思い出を抱きしめました。2013/06/15
ぶんこ
28
川端さんの小学生を主人公にした作品は、いつもキュンとくる懐かしさを感じます。 博士君の小学校卒業までが書かれていて、卒業謝恩文化祭は、立派の一言でした。 見に行きたいくらい。 妹の美奈子ちゃんが、ずっとお兄ちゃんと一緒にいたいと、オニバにお願いするところなんて、胸キュンでした。 イジメがあったり、オニバの死の発見者となったりと、辛い場面もありました。 それを乗り越えての卒業謝恩文化祭での活躍となって、思い出深い少年時代となったのが素晴らしい。2014/07/18
Lesen
13
時系列はバラバラの小学生の少年の連作短編集。親に内緒でした冒険や不安や息苦しさに出会いや別れ、私たちが通って来た道を瑞々しく描いている。川面の様にキラキラしている時もあれば淀んでいる時も不安定さもストレートに表現されている。あの時も今も川の流れの様に続いてる、続いていく。他の作品も読んでみたくなりました。2014/11/03
zanta
8
子供の視点で描く世界はピュアで豊かだ。この人の描く少年は、透明感があり、少年らしさと自我とに苦しんでいる。しかし淡々とした語り口で、それが重くなく、見守りたい気持ちになる。各々の関わり方の変化が、たくましく優しく好ましい。私自身のこの時代を思い出した2012/12/23
tokotoko
5
関西から関東へ引っ越した博士君の、小学校6年間の出来事と成長物語です。スタンドバイミーを思い出しました。自然と友達が身近に感じられて、とても暖かかったです。今、こんな素朴な子供達がいるのかどうかわかりませんが、もしいるなら、彼らと交信できる大人になりたいな。でてくる子供達がまるごと好きでした。2012/10/01