内容説明
「悪夢は悪魔、どうかよい夢に恵まれますように」毎夜、オテルモルには眠りを求めて人が集う。しあわせな眠りを提供する不思議なホテル。日常からほんの少し乖離した世界でもたらされる物語。チェックイン…日没後;チェックアウト…日の出まで最高の眠りを提供するホテル…オテル・ド・モル・ドルモン・ビアンホテルのフロントで働き出した希里が知る、優しい対峙の仕方。
著者等紹介
栗田有起[クリタユキ]
1972年、長崎県生まれ。名古屋外国語大学外国語学部英米語学科卒業。母娘の自立を描いた「ハミザベス」で第26回すばる文学賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まる
53
不思議な話でした。どういうことなんだろうと思うようなことがちょくちょくあるのですが、あまり深く考えず読みました。こんなホテルに泊まってみたい。それと、少し働いてみたいです。私じゃ雑念が多過ぎて良質な眠りを提供できないかな。沙衣と主人公の関係がまたふわふわしていて、本当だったらもっと嫉妬とか憎しみとか諦めとか何かしら感じられそうなのに、それが薄いところがこの作品の雰囲気を醸していた気がします。それにしても西村さん良い父親面してるけど最低だよね。何も解決してないんだけど、何故か悲観的にならない作品でした。2016/03/02
ぶんこ
52
ホテル全体が地下にあり、窓も無い。良質な安眠を提供する事に特化したホテルが舞台。閉所恐怖症気味なので、私自身はこういったホテルに泊まる事も働く事も無理で、読んでいてさえも息苦しくなりました。ただ目的にはどこまでも忠実な外山さんには感服。希里の家族には違和感があり、西村と沙衣、特に西村は表面的には良い人に見受けられるだけに、より不快。両親も少しは希里の事も考えてと常識的な事ばかり頭に浮かぶ。もっと素直に物語の雰囲気に入りたかったです。2017/06/04
ブルームーン
33
最近、ジワジワとはまってしまった栗田さんの作品。一見意味不明なタイトルだけど、「眠り」に悩む人に良い眠りを提供するためのオテル(ホテル)「オテル・ド・モル・ドルモン・ビアン」で働く主人公の話。不思議なホテルは主人公に何を教えてくれるのか・・・。栗田さんの発想、面白いです。好き嫌い分かれる作風だろうけど、私は好き。2014/07/23
リコリス
30
ほんのり暗いエントランス、静かな音楽、主人公がオテルの中にいるシーンを読んでいるだけで眠りに誘われて…寝てしまった(笑)快眠だけを目的に建てられたオテル。眠れないことは多分とても不安なことなんだろう。健やかに眠れることはとても幸せなことなんだと思う。もっとこのオテルをクローズアップした作品を読んでみたい。2016/11/11
とふめん
21
宿泊客に快適な睡眠をしてもらうことを目的とした変わったホテルに勤めることになる。異世界のような空間で規約も独特。終盤、話の山場が来たけどあっさり終わった印象。2017/10/30