出版社内容情報
金貨や銀貨と文銭を両替する銭売りを生業とする賽蔵。幼馴染みのおけいを心の支えに挑む乾坤一擲の大勝負。長編時代小説。
内容説明
金貨や銀貨と、町民が普段使う文銭とを両替する銭売り。賽蔵は「二分金千両を目の前にして、眉ひとつ動かさなかった男」、「いまどき、カネに転ばない男はめずらしい。心根がいやしくないからこそ、できることだ。目に曇りのないあの男なら、どんな大仕事でもやり遂げるだろう」と言わせる男だった。江戸庶民のたつきを生き生きと描く長編時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キューカンバー
4
楽しく読了しました。2023/03/21
藤枝梅安
4
「銭売り」とは、金貨や銀貨などのように価値が大きい通貨を、町人が普段使う文銭に両替する商売。深川界隈の銭売りの元締めとして10名ほどの銭売りをまとめている。貨幣の改鋳のたびに、価値が変わり、相場によっても変動する両替率の説明が多く、電卓を横に置いて読み進めた。目先の儲けより信義を大切にする賽蔵を支えるのは幼馴染の おけい である。おけいは「こしき」という小さな料理屋を一人で切り盛りしている。2009/07/16
naocchi
2
さすが山本一力とも言える素晴らしい作品でした。江戸時代に生きていたんじゃないかと思えるほど、精緻な記述が散りばめられており、これぞ歴史小説とも言える秀作です。相変わらずのハッピーエンドで運の良い主人公ですから、安心して最後まで読めました。2022/06/18
とりぞう
2
為替制度や、江戸時代の貨幣単位などにも通じてないとわからないんじゃないかと思える本。ストーリーはいつもの山本一力風。でもここまで読者に前提知識を要求しても良いものだろうかと感じたり。ぼくは月に何十回も落語会に出かけたりしていたくらいの江戸マニアなのでOKだったけれど、落語にはまる前の自分なら本書を読みこなせなかっただろうと思う。2015/05/30
nchiba
2
山本一力作品にはいつも唸らずにはいられない。「銭売り」とはなんだろうと思ったら、通貨を通用させる仕事なのだ。今で言えば銀行がやっている仕事の一部になるのだろう。金、銀、銅銭の3種類の通貨が通用していた江戸では両替が重要な商売。その一番小さい単位の銭の両替を生業とするのが「銭売り」なのだな。山本作品らしく、その銭売りが良い出会いとまっすぐな心根で成功していく物語。面白く、読み応えがあるのだ。2010/07/04
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