ベルリンの瞬間

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  • サイズ B6判/ページ数 357p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784087745573
  • NDC分類 915.6
  • Cコード C0095

内容説明

「壁」の崩壊から、さらに歳月は経った。“幼年”の感覚を研ぎ澄ます外来者として、死者の国の季節へとくぐり入った一年。20世紀と21世紀のふたつの世紀転換期を透明な遊歩でつなぐ詩人の、濃密な新ベルリン紀行。

目次

ヴァン湖畔
ヴィンターガルテン
ツォイネ散歩道
ブッセ並木道
聖霊降臨祭まで
木々の奇蹟
その家
関税特別郵便局
個人自動車市
この家〔ほか〕

著者等紹介

平出隆[ヒライデタカシ]
詩人。1950年、福岡県生まれ。一橋大学社会学部卒。現在、多摩美術大学教授。著書に、詩集『胡桃の戦意のために』思潮社(芸術選奨文部大臣新人賞)、散文作品集『左手日記例言』白水社(読売文学賞)、小説『猫の客』河出書房新社(木山捷平文学賞)など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

39
ベルリンという町の歴史、そしてその土地の中でたしかに生きた人たち。そうした積み重なった歴史性・伝統といったものに対して平出隆は謙虚・紳士的な態度を崩さない。その上品な態度から記される平出の散文はそれこそ本書で特権的な響きを以て記されるカフカやベンヤミンのそれに比肩しうる透明性を誇っていて、とても読みやすくこちらを刺激する。そして、ぼく自身のことを考えさせられる。これほどまでに歴史が意味を失う時代を生きる……一個の個人として、平出に倣って自分のペースを崩さず何物にも流されず、生きることはなかなか真似できない2023/12/27

踊る猫

36
事務的に整理するなら「ベルリン滞在記」となる。だが、1年間の滞在の記録を大がかりなテーマでまとめ上げ大上段になんらかの主張を試みるのではない(むろん、そうした「まとめ」が傑作になりうるケースはいくらでもあるが)。この詩人はむしろ個々の出来事が生起したその一瞬一瞬を日記風に切り取り、それをずらずら並べていく方法を採る。わかりやすい巨大な教訓ではなく、クサい言い方になるがその時その時生起した出来事のかけがえのなさ・神秘性・偶有性にこそ着目すること。そう思って読むとここにはたしかにある種の「みずみずしさ」がある2024/07/25

踊る猫

29
カフカとベンヤミンが愛した土地に、ひとりの詩人が一年間滞在した。そして綴った記録。異文化とのこれ見よがしな葛藤の記録ではなく(いや、そういう中島義道的な記録も面白いのは確かだが)、詩人は猫と一緒に柔軟にその土地に対応して人々と和やかな生活を過ごす。この詩人はしかし、異国語をゴツゴツした異物として捉えるタイプの人ではないようだ。そのすんなりと臨機応変に対応してみせる才が逆にクレバー過ぎて物足りないと感じられもするのだが、しかしこの詩人は相変わらず「お高くとまった」ところがなくその自然体が興味深く思われもした2020/07/12

ぱせり

10
ディートリッヒに似たタクシードライバーやハンザ・ホテルの思い出、アウシュビッツに思うこと、芸術家たちとの語らい、カフカを追いかける旅・・・もっともっと聞かせて欲しい。でも、本当はベルリンでなくてもよかったのです。平出さんの静かで丹精な案内を請いながら異国の町を歩き回り、眺め回し、何よりもその空気を吸って吐いて、の呼吸をするのがとても楽しかったのです。2010/01/27

geromichi

5
ベルリン滞在記。飼い猫を飛行機に乗せたり、逆に一週間くらいの旅行で放置するところ以外は良い本。2025/02/24

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