内容説明
戦時中の騒然たる国家的雰囲気のなかで書かれた「…のであつた」「今宵何を語らう…」「祈り」などの諸編から、戦後の「潟の風景」「しづかに雪が」「戦争」「ジェスフィールド公園にて」「暗黒の詠唱と合唱」他、1966年の「風はどこから吹いて来る」までの全詩作42編と解題を収録。
目次
…のであつた
今宵何を語らう…
祈り
挽歌―みまかれる美しき詩人に
明るく歌のやうに
高原
水のほとり
故里
潟の風景
朝〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
袖崎いたる
6
宮崎駿がこよなく愛する作家の詩集。宮崎駿とモチーフの重なるところが散見される。たとえば風、船、海、戦争。「風立ちぬ、いざ生きめやも」の借用まである。ヴァレリーだね。「風は立たねど二人立ちあがり」とくる。パヤオ風味がする。私見では他に堀田の観念には白鳥も見つかる。どの詩にも風を受けて膨らむ観念があるようで、切なくも清がしい詩情。2020/06/12
武澤良一
0
どの詩も言葉遣いが柔和であり、また力強く書かれており、堀田善衛の考えていたことががおぼろげに伝わってくる。そこで、私が共感した言葉をここにのせておく。 「われらの生は 孤独の深みでなんと広いのであろう」。孤独であることは狭苦しいものにみえるが、実際はその逆でとても開放感のある境遇であると考える。孤独は自由であることの表しではないのか?とも思えてくる。 その他にも共感した言葉はあったが、汲み取れない部分がまだまだあるので、何回か読んだあとに紹介しよう。2023/09/25