内容説明
子供の頃からぼっとしてしまうスイッチがあった南。小学校にも中学にも高校にも家庭にも、おさまるべき枠が用意されているのに、いつもはみ出してしまう南。恋人キタザワの一緒に暮らそうとの言葉に、彼のマンションに引っ越しをする。とてつもなく散らかった部屋には、マリコとサトシという同居人が…。この共同生活の中に南の居場所はあるのか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そのぼん
23
中編2作が収録されてきました。表題作は一人の男性と出会い、同棲することに為った女性が主人公でした。なんだか他の同居人たちと、目的もなくダラダラ過ごしている感じで読んでいる方が落ち込みそうな感じでした。『かかとのしたの空』は少し印象が薄かったです。異国の気だるげな雰囲気は伝わってきました。2012/11/19
zanta
8
私にはあまり面白い本ではなかった。どの登場人物も好きになれない。どの風景にも心動かされない。しいていえば引越のシーンは共感するが。農耕民族か狩猟民族か、って考えたんだけど、私はどちらでもないし、ありにもキリギリスにもなれないタイプらしい。だからこの人たちのことを否定も共感もできなくて。だからおもしろくない本なのかな。2013/09/17
calaf
8
で、結局最後には自分も行くのか!(大汗) > 南 in 『みどりの月』2012/11/14
玲
8
主人公が抱いている不快感への共感は、徐々に主人公自身への不快感になり、共感から遠のいていく。読んでいてだんだん気持ち悪くなっていく。それがエンディングでは解消されることを穏やかに願いながら読んでいるのに、結局解消されることはない。不快感は煮え切らない思いと共に読後感になる。最近の角田光代さんの作品でもものすごく不快!というのがあるけれど、その境地に至るまでの過程だったのかな、と感じました。2012/07/01
グリーンクローバー☘
6
『みどりの月』は社会のレールに乗って生活していている私自身について考えてしまった…。キタザワとマリコ、タケシの気儘な生活。あんな風になれたら楽だろーなぁ。『かかとのしたの空』はマリコ…やはり棄てられた!と面白かった。どちらも社会から逸脱していて私にはありえない世界を見せてくれた。こういうのも悪くないなぁ。真似は出来ないけど。2016/10/14