内容説明
時代に先駆けて激しく生きた侍の娘。パン屋の女主人は明治初頭の生まれ。九人の子を産み店を繁盛させ、芸術家や文人を集めてサロンの女王として輝いた。革命家を匿い恋もして80年の生涯を全う。
目次
プロローグ CHEZ MOI(私の家に)
アンビシャス・ガール
文明開化
侍女塾
結婚の条件
信濃路
つかのまの歓び
嫁御脱出
書生パン屋開店
彫刻家の恋
サロンの女王〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sakamoto
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仕事で読んだ本。新宿中村屋の女店主ー相馬黒光がどのような生涯をおくったのかが描かれている。一時は日本で最も魅力的な女性だと評された彼女だが、実際には主義もなくただ社会情勢と自身のプライドに翻弄された女性なのだろうということがありありと分かる。それが、いかにも「女」という感じで読んでいて、彼女の自尊心の高さと愚かさと高慢さがとにかく鼻につく。しかし、そう感じるのは、筆者が非常に丁寧に彼女の生涯をたどったからであろう。筆者の文章は程よく彼女から距離を置いて書かれていることが最も評価される本。 2013/06/18