内容説明
サングラスをかけウォークマンを聴きながら義足で歩く、サイボーグのような競歩選手。第17回すばる文学賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どぶねずみ
28
50kmを7時間で歩く。とことん追い込んで追い込み抜いて、その先にあるものを求める。イメトレは知らず知らずのうちにしてしまう。自分を追い込むのは、体に染み付けてルーティン化してしまうということだと思う。あらゆるスポーツでも、受験勉強でもこの手法が努力となって、何かが見えてくる。途中の記録をたくさん残さないと、分析もできない。途中経過で自分の変化を感じる。苦しみもがいている時期もあるけど、とても懐かしく思えた。晴れやかなシーンはほとんどなかったけど、きっとゴールが見える。そう信じたい。2019/11/22
静
22
競歩がテーマということで、新鮮さを感じながら読了。「僕」と「男」のストイックさには驚きながらも羨ましさを感じました。ここまで没頭できることがあることは素晴らしいと思います。すばる文学新人賞、少し苦々しさを残しながらもやはり読後感は良いです。2019/04/06
ぽけっとももんが
8
図書館の閉架から出してもらった。こんなすごい本が閉架なんかに入れられちゃってもったいない。1994年の本だけれども、読んでいる間ずっとどきどきしていた。サスペンスでも恋愛ものでもない、地味な「競歩」がテーマだ。「競歩王」が面白いと思った人に、ぜひこちらも読んでもらいたいと思う。典型的な傍観者の「僕」がこの薄い一冊の中でみるみる泥沼に嵌る、そのどきどきを共有したい。2020/02/01
如月小町
3
主人公が男に言うセリフ「あなた、少し気狂ってますよ。」・・・これがすべてだ。そして主人公も、競歩という競技の沼にはまっていく。物語のスピード感、登場人物の人物設定にひかれて一気読みだった。レース終盤の予想外の展開も、かなり面白かった。2021/06/13
atsuta3
2
競歩がテーマ。決して爽やかな感じではない。風景が想像できたし、息遣いまでもが聞こえた気がした。一気に読了。2020/03/21