出版社内容情報
18世紀にアフリカの大地で生き別れた姉妹。その子孫たちが数奇な運命を辿り、ついにアメリカで出会う。驚異の新人がつむぐ魂の一大叙事詩。2017 American Book Award 受賞作品。
内容説明
アフリカの大地で生き別れた姉妹。その子孫たちの、あまりに数奇な運命とは―。2017アメリカン・ブック・アワード受賞!26歳の超大型新人による驚異のデビュー作!「NYタイムズ」や「ニューヨーカー」、「ワシントン・ポスト」「ヴォーグ」など、主要各紙誌にこぞって取り上げられ、世界24か国で版権が売れた話題の文芸大作!
著者等紹介
ジャシ,ヤア[ジャシ,ヤア] [Gyasi,Yaa]
1989年ガーナに生まれ、幼少期に家族とともにアメリカに移住。スタンフォード大学、アイオワ大学で学ぶ。2016年に鮮烈なデビューを飾り、主要各紙誌で話題となっていくつもの賞を受賞、世界24か国が版権を取得。その後、トニ・モリスンやドン・デリーロなどの錚々たる作家が受賞した2017アメリカン・ブック・アワードに輝く
峯村利哉[ミネムラトシヤ]
1965年生まれ。翻訳家。青山学院大学国際政治経済学部国際政治学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
63
最初の舞台はガーナ共和国にあるケープコースト。かつてはイギリスの奴隷貿易の積出港として使われ、地下の牢獄からは多くの黒人が奴隷として連れ去られた場所だ。この地を起点にアフリカ大陸にとどまった姉とアメリカに渡った妹の異父姉妹をルーツにして18世紀の奴隷貿易の時代から現代に至る8世代にわたる年代記。幾世代も名前を覚えるのが難点だが、ファンティ族とアシャンティ族の出自からそれぞれの黒人の置かれた被支配者、非抑圧者の過酷な状況が連綿と語られる。ああ、人は運命の糸でつながっている。2018/07/10
キムチ
59
3時間余りで一気読み。30歳代の女性が語るアフリカの歴史の凄さ・・人類最古と言われる彼らの声をこれからどんどん聴いて行けそうと期待が高まる。数百年に及ぶ歴史と登場人物14人・・奴隷貿易・民族間戦争・独立運動、奴隷解放、黒人大移動、地位向上運動などを巧みに取り入れ 一気にストーリーに引き込ませる。ガーナ黄金海岸は特に英国が目をつけていた。住民はアカン人・・中 アシャンティ族とファンティ族が作品の主役の祖。異母姉妹が2つの大陸に別れ 作品ラストでアフリカとアメリカ「火と水」のキーワードの下に円が繋がり 2020/11/28
天の川
58
互いを知らぬ異父姉妹。一人はイギリス人奴隷商人の現地妻に、一人は奴隷としてアメリカへ。7世代14人の人生の一場面が描かれる。それはガーナの歩んだ道、アフリカ系アメリカ人の歩んだ道だ。片や奴隷貿易への部族の加担、迷信、カカオ栽培、独立運動。片や奴隷狩り、地下鉄道、ゴスペル、ドラッグ…各世代の話がガーナとアメリカ交互に語られることで視点が複合的になり、彼らの抱える問題が時の社会事情(社会変革の速度も違う)と共に変質していくのがわかる。重い歴史がドライに、けれどしっかりと描かれていた。ラストは爽やかで美しい。2020/12/14
naoっぴ
50
アフリカ大陸のアシャンティ族とファンティ族の数世紀にわたる壮大な家族史。一方は奴隷を売る側に、一方は売られる側となったそれぞれの部族の女性たち。奴隷貿易、民族間紛争、植民地支配、人種差別、そして黒人解放運動。アフリカのガーナ共和国の人々の、長く重い歴史が世代ごとに主人公をかえて描かれ、これまで馴染みのなかったゴールドコーストの歴史を知って衝撃。現代のアメリカに住むアフリカ系の人たちの背景に、こうした歴史がそれぞれあるのだと思うと感慨深い。まさに命の奇跡の歴史です。2022/04/26
ヘラジカ
35
作品自体の完成度にはもちろんだが、この意欲作を26歳(ちょうど今の私と同年齢!)の若さでものしたと言うことに何よりも驚かされた。奴隷という歴史の始点で、売られる者と売って財をなした者に分岐した姉妹。それぞれの血脈が数百年の時を経て現代に至るまでの軌跡を、総勢14人もの人物で織りなしている。全ての主人公が独立した小説として書けそうな程のストーリーを持っているが、実際に現代アメリカ社会を生きる黒人たちの祖先は、このフィクションに引けを取らないような物語をひとりひとりが持っていたに違いない。堂々たる大作。2018/01/27
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