アムニジアスコープ

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  • サイズ B6判/ページ数 262p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784087734324
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

記憶喪失スコープからほの見える世界の終わりと純粋な愛の記憶。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キムチ27

42
柴田氏の巧みな訳に惹かれ 読み出したものの、結構咀嚼し辛い。かっちりした構成で存在を押し出す中身は滝のように迸る水量。圧倒され 押し流され 何を言いたいのか途方に暮れそうに。シネマポルノ作家の私が1人称で語る恋愛エピソード。現在の恋人ヴィヴと数え切れぬほどの女性遍歴はアムニジア(記憶喪失と銘打ちつつ、そのメリットデメリットをぐいぐい訴えていく)そしてメモリーへの考察に繋がって行く。「自由の解放を感じるよりは、寧ろ重荷と感じてしまう」アメリカを書く。縦横無尽、幻視的光景にちらちら挟まる言葉に現実が見える。2017/04/30

りー

22
エロいだの笑えるだのとの前評判を聞いて読み始めたのだけれど、どうも僕の官能や笑いのツボとは噛み合なかった様で、どちらに対しても虚しさしか感じられなかった。しかしこの小説の何が素晴らしかったかと問われればそういった「虚しさ」に違いなくて、徹底的に何も得られず何も失わないという停滞感はもはや爽快ですらある。ふらふらと彷徨う主人公の思考にきっと読者は様々な自己を重ね合わせるのだろうけれど、僕はそこに諦念という殻に守られて肥大した自己愛を見た。読み返す度に姿を変えそうな小説。エリクソンの他の作品も読まなくては。2014/01/10

saeta

7
過去作のように時間軸の巧みなずらし、大陸間の移動などが無いと事前に知って読み始めたが、上記のエリクソン節とも言える部分が無いと、やや物足らない印象ではあった。過去作に何度も使われる映画「マラーの死」や「Xのアーチ」のサリーなんかもも登場するのはご愛嬌か。引き続きエリクソン祭り継続。2018/04/10

aoneko

3
朗読会へ向かう途中横取りしたタクシーが事故に遭い、死を想いながらも、頭に浮かぶはそのタクシーに乗るはずだった見知らぬ女性に如何に命を救ったかを訴える術だったり、友人とふたり「プリンス」なる娼婦をかくまう際のやりとりが特に可笑しい。幻想的なロサンゼルスと、何より文章が好みだった。不思議なバランスの上にあるユーモアも好きだし、どの頁のどの行を読んでも楽しいってすごい。メモリースコープと記憶喪失鏡をめぐる主人公の思考を通して揺らぐ世界に、こちらの心もまた揺さぶられる。読み終わるのが寂しくて少しずつ読んだ。2012/09/26

志ん魚

3
なんだかいろんな思いが渦巻いてうまく言葉にできない。。。作家「S」の1人称で語られるこの小説は、自己暴露的な私小説ともとれるし、幻想と官能に満ちたフィクションともとれるし、だからこそエリクソンという世界そのものであるとも言える。自分の想像力の中を旅しながら、自分自身の原点の記憶と創作への思いを探求し、そこから現実の「創作し続ける自分」を勇気づけているような感じ。ああうまく言葉にできない。。。2009/08/31

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