蟹の横歩き―ヴィルヘルム・グストロフ号事件

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  • サイズ B6判/ページ数 254p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784087733839
  • NDC分類 943
  • Cコード C0097

内容説明

第二次大戦末期、多数のドイツ避難民を乗せた客船がソ連の潜水艦に撃沈された。死者の数はタイタニックの6倍にも達した史上最悪の惨事となりながら、この悲劇は人々の記憶から抹殺されて、半世紀以上語られることがなかった。グラスだからこそあえてタブーに挑んで歴史に対峙した。

著者等紹介

グラス,ギュンター[グラス,ギュンター][Grass,G¨unter]
現代ドイツ最大の作家。’99年ノーベル文学賞受賞。1927年、バルト海の港町ダンツィヒ(現ポーランドのグダンスク)に生まれる。大戦中、最年少兵士として召集され、戦闘に参加して負傷、米軍の捕虜となった体験が、後に、深く政治と関わっていく動機となる。「ブリキの太鼓」(59)「猫と鼠」(61)「犬の年」(63)の“ダンツィヒ三部作”で地位を確立、その後も「鈴蛙の呼び声」(92)「はてしなき荒野」(95)など問題作をつぎつぎに発表

池内紀[イケウチオサム]
ドイツ文学者。1940年、兵庫県姫路市の生まれ
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

82
読友さんの感想がきっかけで読んだ本でした。まさか『ブリキの太鼓』でお馴染みのグラス作品からコンピューターという言葉が出るなんて予想外でした。当時の独ソの政情関係によって犠牲者を多く、出しながら、なかったことにされたグストロフ号沈没事件。母の繰り返される怨嗟の篭った、出生に絡む思い出話にうんざりする子、そんな父に対して事実を知ろうとし、祖母の怨嗟を晴らそうとする孫。事件が起きて判決が下されてしばらくしてからの母と孫の様子は日常に還った人そのもの。しかし、張本人達が終わらせても影響を受けた周囲は終わらせない。2017/03/27

安南

37
第二次大戦末期、ドイツ避難民を乗せたグストロフ号はソ連の魚雷により沈められた。犠牲者は9000余名、史上最大の海難事故でありながら複雑な政治情勢のなか語られることはタブーとなり、人々の記憶からも抹殺されていた。人物もイデオロギーも一筋縄ではいかない登場人物達が、資料を掘り起こし、ネットで論争し、昔語りをすることで次第に明らかにしていく在りし日のグストロフ号の姿。史実と私事がジグザグ歩行、時系列も行きつ戻りつ、登場人物達のイデオロギーの紆余曲折も相俟って、まさに右に左にタイトル通り蟹の横歩きのような小説だ。2014/08/09

シュラフ

22
歴史というのは複雑系。タテとヨコにつながっていて、そして過去から未来へとつながっていく。第二次世界大戦時のグストロフ号の悲劇に至るにはその伏線があり、その事件は後々になり新たな悲劇へとつながっていく。ユダヤ人によるナチ幹部のグストロフ射殺→グストロフの名の客船への命名→ソ連軍潜水艦によるグストロフ号への攻撃→避難した妊婦の出産・・・。そしてその妊婦の孫は事件に大きな関心を持ち、やがて反ユダヤ主義へと傾注していく。そして悲劇はおこる。ひとつひとつの事柄は、あたかも蟹が横歩きしていくように、やがて事件になる。2016/11/23

稲葉孝太郎

4
現在と過去を行ったり来たりする「蟹の横歩き」的記述。どうしてこんな分かりにくくするのかな、と前半は思っていたら、後半の事件で納得。なるほど、どちらかと言えばそちらがメインだったのかな、とすら思えてくる。過去の事件と現在の事件がフラッシュバックすると同時に、「過去は清算できるのか?」という歴史の一大テーマが扱われている作品だ。余談だが、私はグラスの他の作品をこの段階では読んでいないので、トゥラという女性の人物像がイマイチ掴みにくかった。2016/03/29

ぴゃっぴゃ

4
語り手とその母、息子それぞれの事故への関わりかたが平行して記され、読みながら右往左往してしまう。悲惨な事故と一部の戦後世代の薄気味悪さ、それらを外側から逃げるように眺めることで物語自体は滑稽さを帯びてすすむ。読み進めるのに苦労しながら読了すると他の作品も読みたくなるグラスマジック。2012/06/08

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