ダロウェイ夫人

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  • サイズ B6判/ページ数 303p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784087732986
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

人生のただその「瞬間」に飛び込んでゆきたい…死と生のよろこびにみちた、六月のロンドンのように美しい小説。世紀末から1920年代の英国の精神風土をえがきながら、「意識の流れ」の文体で、老いゆく女性の、あるいは老いゆかざるをえない人間の悲哀を、生命力にみちた六月のロンドンを背景に、美しくうたいあげた、20世紀文学の最高傑作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

燃えつきた棒

42
神谷美恵子の『ヴァジニア・ウルフ研究』を読む前に、最低もう一作、ウルフの小説を読んでおきたかった。 最初、河出書房新社の世界文学全集の『灯台へ』を読もうと思ったのだが、誰かに貸してあって見つからない。 そんな訳で、本書を手にした。/ 読み終わって驚いた。 結末が思っていたものと違っていたのだ。 テレビ人間の僕にはありがちなことなのだが、映画『めぐりあう時間たち』に引きずられてしまったようだ。 同じように、映像作品だけ観て原作も読んだような気になっているものも、一つ一つ原作にあたってみなければならない。/2021/08/12

内島菫

31
ウルフ版「ユリシーズ」だなと思った。意識の語り手が、タイトルのダロウェイ夫人であるクラリッサから最後のピーターまで、次々と入れかわり立ちかわり、何度も語る主要人物や一度しか語り手の役割を担うことのない脇役がめぐりめぐって、1923年6月のとある水曜日のロンドンの一日をバトンタッチしてゆく。とはいうものの、そこにはもちろん何十年も前の昔やちょっと前の出来事もまるで現在と同じように、あるいはそれ以上に鮮やかに現れては消えてゆく。同じ人物に対する考えもくるくると変化し、死んでいると思われた人物が生きて登場し、2020/01/16

みっちゃんondrums

23
悪戦苦闘の読書だった。映画「めぐりあう時間たち」が良かったから、手に取ったが。主語が明確ではないまま主体が頻繁に変わり、主体が観察・言及する人物たちも大勢で、そのうえ章や節の区切りがない。入れ換わる主体の克明な意識を読まされる。五十を過ぎた主要登場人物たちの過去への郷愁や後悔、現在の境遇への鬱屈などが纏わりつく。終盤、作者の分身の一人と思われる青年セプティマスの唐突な行動で目が覚めた。第一次大戦から5年後のロンドン、6月の風景の美しさと時代の雰囲気は伝わった。2018/05/28

algon

13
クラリッサ・ダロウェイの6月の多忙な1日が始まる。ダロウェイ邸で開かれるパーティーの日だ。物語は街に出たダロウェイ夫人の想念から思春期に彼女にぞっこんだったピーター・ウォルシュや戦争後精神に異常を期し自死するセプティマスやその妻など周辺の登場人物のそれぞれの思いへと軽やかに移ってゆきパーティーの終盤で締めくくられる。全編が各人の意識や思念で綴られそして経過する時といえばたった1日の事なのだ。章立ても無く全編ベタな話で明らかに実験小説だがその圧倒的な才能が見せる多彩な表現などで魅了される。装丁もまさに6月。2021/02/13

ダージリン

4
テレビで映画の「めぐりあう時間たち」を見て、「ダロウェイ夫人」を読んでみたくなった。これを読むことで映画のシーンの意味が飲み込めるところが多々あった。それにしても、たった一日の中に人々の人生を見事に埋め込んでしまうところは凄い。最後のパーティーのシーンは圧巻。2017/07/15

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