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内容説明
リオで暮す妹ルシのもとへブエノスアイレスからやってきた姉ニディア。片やロマンチスト、片やリアリストの二人は隣りの女性やハンサムなガードマンをめぐって噂話に花を咲かせる。だが、妹は息子の転勤にともないスイスへ移住、南国を偲びつつその地で病死する。周囲のはからいで妹の死を知らされない姉は、リオで待ち続け、妹に宛てて手紙を送り続ける。ところが、彼女は信頼していたガードマンに裏切られ、傷心のままブエノスアイレスに戻るのだが…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アドソ
14
プイグの遺作長編。老姉妹の会話、手紙、告訴状などから構成され、物語を俯瞰する第三者的なナレーションは一切ない。「蜘蛛女のキス」で映画のあらすじが語られるときのような、現在時制の回想口調が不思議なリアリティをもたらしている。たいした大事件が起こるわけでもないのだけれど、個々のエピソードをつなげて長編の物語に仕立て上げる構成力がすごい。老姉妹の会話を立ち聞きしているかのように、読者が少しずつ状況を理解するという始まり方が、とっても映画っぽい。2017/10/14
ヘラジカ
13
物語の中に物語を構築するという二重構造。前半は老姉妹の対話のみで進行する、言わばプイグおなじみの形式。『蜘蛛の女のキス』との違いは、第2の物語が単なる"おはなし”ではなく、第1の物語と平行線をたどっている点にある。前半部は後半において瓦解する安逸な日常生活を演出するだけに留まらず、剥き出しになる現実や死に対する予兆を、不気味なほどに練りこんでいる。シニカルで否定的な姉、ロマンチストで肯定的な妹、という対照的な組み合わせがユーモラスで、この辺りは映画や舞台の脚本のような技巧を感じさせる。2013/04/12
勉誠出版営業部
5
マヌエル・プイグの『南国に日は落ちて』を読了。前半は会話、後半は書簡の往復のみで構成される、プイグの遺作。2015/09/12
takao
3
ふむ2024/04/13
アン・シャーリー
3
プイグ最後の長編。『蜘蛛女のキス』よろしく、登場人物の対話と手紙、報告書で小説全部が構成されている。けっこう暗いことばかり起きる話なんだけど、読後感はさわやか。訳者あとがきがとてもよくて、そのさわやかな読後感を見事に解説してくれている。ニディアおばあちゃんに拍手。2015/12/20