内容説明
あざらしに連れ去られた弟ジェイミーを取り戻す少女フィオナの物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Take@磨穿鉄靴
43
スコットランドの童話。淡々と話が進みそして終わっていった。なんだろう。話にうねりが無くて潮が満ちて引いて、時間が流れた。それだけの感じ。だけど不思議と少し安らいだ気持ちになった。それはストーリーにというよりは物語全体を通して流れる空気のせいか。あと本筋とは関係無いけど物に執着しないと自由で自然に豊かな気持ちで暮らせるのかと感じた。現代の日本では難しいけど自分も大切なものを見極めてもう少しシンプルに生きたいと思う。★★★☆☆2021/02/23
mntmt
23
冒頭の文章を読んで、すぐ、魅了されました。スコットランドの海。小さな島。カモメ、アザラシ。霧笛。セルキーの伝説に基づいた、不思議なお話。ウソのようで、本当にあったお話かもしれない。なんて思ってしまう。装丁もイラストも素敵です。2015/12/22
あ げ こ
15
うとうとと眠りに溶け行く心を夢へと運ぶ、懐かしいおとぎ話のような、優しく、温かな物語。ひとりきりの覚束なさ。辿り着いた時間の穏やかさ。お腹を満たして行く美味しいごはん、甘いおやつ。言葉を用いぬ動物たちとの交流。心踊る昔話。そして、ちっぽけなその身体を突き動かす、思いの強さ。幼い頃に抱いていた、遠く、届かぬものたちへの憧憬、共鳴、愛惜、憤り…滲むよう蘇り、広がり行くその甘さに、今一度、身を委ねる。2015/05/06
seacalf
14
待ちに待ったアイルランドの映画『Song of the Sea』がまもなく始まるよ！ ということで、セルキー（アザラシの妖精）伝説繋がりのこの作品を読み始めたけれど、冒頭から表現の上手いこと。声に出して読みたいくらい。なるほど、訳者は詩人さんでもある方。とても素敵な童話なので、ケルト好き、アザラシ好きならずとも、ぜひ多くの方に手に取って読んで頂きたい。個人的には、大げさだけど、どうして本を読むのが好きになったのか。その根元を思い出すようなわくわくした読書時間。こういう不思議な話は大好きだ。2016/08/17
よきし
6
スコットランドの島に生まれた少女が、島から立ち退く時に消えた弟を求めてセルキー(アザラシの精霊)と交流しながら取り戻す物語。柔らかく温かい文体は、物語を読んでいてスコットランドの自然に魅せられ、一途で多感な少女の心の浮き沈みに誘われる。生まれ故郷の島を思い、ゆりかごと共にながされていった弟を思い、祖父母やいとこと共にふるさとと共に生きていくことを望む彼女の思いがどこまでも熱く、胸を打つ。素晴らしい物語でした。2011/10/14
