内容説明
〈政治のために〉傷つくのは、いつも、ぼくたちだった。1988年、フランスでカーズ賞とアジア賞を受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
森香
3
文化大革命時の農村に赴任した省長一家。9歳の長男の視点で、父親が革命の実行者から、裏切り者へと引きづり落とされるまでを綴っている。文化大革命の異様な興奮感がこわい。リアンに対するティエンの友情が唯一和んだ気持ちにしてくれる。 莫言の作品と間違えて読んだが、政治に翻弄される一家の様がやるせなく、読み応えがある作品だった。2015/04/20
くれの
2
文革を挟み前半後半でのバイタリティのギャップが痛ましく感じます。純朴な住民との精神の交流により少年から成長する心の揺蕩うさまに感嘆し、彼の視線に映るその革命思想の儚さや醜さが怒りとなって沸々と胸に込み上げてきます。2015/02/10
がんぞ
1
(公然に)フランス滞在中、天安門事件が起きて大陸に帰らないのを決意した亡命作家の自伝的作品。で、文化大革命のときには紅衛兵の追求を恐れ、父の全遺品を処分、唯一残った写真も「インテリに見える」(蒋介石政府統治下、銀行員をしていた)という理由で「焼いて灰は見つからないようにパンに混ぜて食べた」とある。中華民国で父が盗賊でもしていれば、おそらくルンペンプロレタリアートとして彼は紅衛兵になれただろうが。「性善説」に立つ左翼は、ニンゲンの成分を生まれた環境で決定ととらえるから、ブルジョワジーは強制的に矯正される2012/10/31
ピヨ彦丸
1
子供が主人公なので読みやすいです。大学の課題として読みました。主人公とティエンの仲のよさになごみます。 テーマは重いしハッピーエンドではないのですが、主人公の純粋さのおかげで読後感は暗くなかったです。2012/02/15