内容説明
故国の違い、年齢のズレ…。一緒に暮らすには問題がイッパイの2人だけれど、1人になると、もっとチュらく切ないことばかり。互いに片翼しかない越路と景子の哀しくユーモラスな愛情物語。
目次
小さなお父さん
ホームシックと失神と
近い国、遠い声
別れろ、切れろ
情あるなら
家族大集合
10年ひと昔
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nonpono
1
生島次郎の「片翼だけの天使」シリーズ。当時、ハードボイルド作家の生島さんが?とギャップに驚いた気がする。「2人とも片方の翼しかもてず、その両方の翼を合わせなければ、一人前に翔ぶことなどできゃしないのだ」、韓国と日本の国際結婚。その大変さが伝わる。でも、もう「独りであることにもはや耐えきれなくなっている」状態に。人は人に出逢うことで変わる、いや、変われる。そんなふうに思わせてくれるシリーズ。2023/04/20
ごま
1
絶版だったので古本を取り寄せて購入。『片翼だけの天使』のヒロインである韓国人の奥さんとの生活を描いた連作短編集。この作品には景子さんの浮気は描かれておらず、ひたすら母国への郷愁を募らせたり、親族への過剰な援助を要求したりと、困ったちゃんだけども憎めない奥さんとして描写されている。あの時代の国際結婚って、今以上に難しそう。ただこのシリーズ、完全に越路の主観でしか描かれていないけど、客観的にみたら実際どうだったんだろう・・と今更ながら思う。ハラスメントなんて言葉が浸透してない時代の話だから、色々興味深い。2020/07/07