内容説明
餓えと本、瀬戸大橋に寄せる、詩を贈ることについて、桜、春、猫を見る、寺山修司への70行など全48篇を収録。最新詩集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
寛生
43
【図書館】遠い所、未だ嘗て訪れたこともない旅に連れて行ってくれるような詩集だった。ラカンがどこかで「本を食べる」というようなことをいっていたと思い出す。本という食を、自らの生の端っこで食べてしまう。渇いている喉。空腹の胃袋。空気があって身体が呼吸をすることが何でもないかといえば、食をする身体は食べることは何でもないようであり過酷な生をそこに刻むことでもある。そこに、ある唇とある唇が口づけをし、魂が交じり合うことがある瞬間は、一つの生に何度あることだろうか。それとも未来にあることを焦がれるべきか。2014/11/13
すぱちゃん
8
素敵な詩集でした。対極にあるものを捉える視点とか勉強になりました。寺山修司の「書を捨てよ 町へ出よう」のDVDを観たばかりなので、「寺山修司への七〇行」という詩を感慨深く読みました。この詩集を読み終えると、一つの旅が終わった気がします。2020/02/02
仮名
3
「詩は誰のものでもありうる 世界が誰の所有でもないのに すべての人のものであるのと同じように」。繊細で正直で、でもどこか捨て鉢じみたユーモアもあって、さりげない日常性にも根ざしていて、突き刺さるようなというよりは、じんわりと浸みるような詩。「今日に似た日」という連作がとりわけ好きだった。2012/01/12
クソ太郎
3
ほんとうに美しい言葉を紡ぐ人だ。久々にこんなに心地いい詩を聴いた。2010/06/08
m*
3
情熱と悲哀。欲望と、その対極にあるもの。すべてを等しく、親しげな距離から見つめているような印象を受けました。言葉のひとつひとつに、光の粒や、湿り気、短いメロディーが含まれているようで、詩とはこういうものか、と不思議な心地がしました。2009/10/15
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