内容説明
大金持になるために命をかけた男たちの遺跡を求めて、現代のドン・キホーテ荒俣宏が開拓する「産業考古学」の魅力。
目次
序 産業考古学ツアーへの誘い
第1章 黄金伝説への旅―サフラン酒王
第2章 独立ユートピアの夢―サトウキビ王(玉置半右衛門)
第3章 豪農たちの豊穣なる“実り”―稲穂王(伊藤文吉)
第4章 消えた“ニシン王”の謎
第5章 “黒ダイヤ王”の大いなる遺産―石炭王(麻生太吉)
第6章 成りあがり“炭坑王”の悲恋―石炭王(伊藤伝右衛門ほか)
第7章 深山に眠る“銅山王”のユートピア(広瀬宰平)
第8章 “絹の道”からハマの港へ―生糸王(原善三郎、原三渓、中居屋重兵衛)
第9章 好敵手物語・ニッポン宣伝事始―たばこ王(岩谷松平、村井吉兵衛)
第10章 線路はのびるよ、まっすぐに―鉄道王(雨宮敬次郎、根津嘉一郎)
第11章 ラッパの余韻―映画王(永田雅一)
第12章 “町おこし”産業の宿命―遊郭王
第13章 南洋の島にあった楽園―南洋王(宮下重一郎)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つまみ食い
7
新潟の豪農やサフラン酒造、九州の炭鉱王たち(麻生家も含む)、たばこ王、南洋貿易など明治から昭和頃の産業が産んだ「成金」富豪たちの蕩尽をその遺迹の写真や証言とともに辿る「考古学」。破天荒な蕩尽とともに、教育施設や医療など社会インフラに惜しみなく私財を投じるメセナ意識なども根強いのが興味深い2024/06/03
小林ミノリ
0
近代化に向けて日本が邁進していた時代の痕跡をめぐる記録、産業考古学という新たなる学問の形をとった少々センチメンタルな旅行記のような味わい、余談ですが、こげなもん!!のモトネタである石炭王について知ったのがこの書であります。
ささ
0
■産業考古学という、あまり聞き慣れないジャンルを扱ったもの。サフラン王、サトウキビ王、稲穂王、ニシン王、石炭王、銅山王、生糸王、たばこ王、鉄道王、映画王、遊廓王、南洋王、と今は廃れてしまった産業にスポットライトをあてている。王たちに対して、金ぴかの家を建てているに違いない、贅沢三昧をしているに違いない、という先入観を持っていたが、意外にも質素だったり、地域のために病院をつくった王だったりと私的には予想外の展開。本の冒頭にある通り、硬派な本。大人の社会見学という感じで、とても楽しめる。2014/05/15