感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
24
谷川さんの詩集を中学生の時から読んでいるので40年以上読み続けていることになります。飽きることはなくて、いつ読んでも日常の生活で擦り切れかかった心が蘇るのを感じます。詩が表現しているのは詩情です。谷川さんの詩の場合は日常生活の中にある、見逃しがちな詩情が表現されることが多いです。例えば、「ポルノ・バッハ」には男女の性愛があからさまに書かれています。この詩にも詩情があります。日常生活のあらゆる面に詩情を見出す谷川さんの姿勢は、生きること全てを肯定するにつながります。だからこの詩人が好きなのだと気づきました。2024/06/27
夜の手ざわり🌙☆*.+
11
【再読】1979年発刊。1959年から1979年の間に発表されたものに、未詳の数篇もくわえたもの。あとがきで谷川さんが、カバーに用いられたパッチ・ワークを紹介しつつ『本書もまた〜パッチ・ワークにならって綴り合わせたものと言えようか』と言っているとおり、さまざまなかたちの詩がバラエティ豊かに収録されている。中でも『地下鉄南阿佐ヶ谷付近一九七四秋』は、いつ何度読んでも、その時その場所に自分が立って眺めているように、街の風景が立ち上がってくる、大好きな作品のひとつ。★4.52022/05/25
peeping hole
5
高橋源一郎が『ジョンレノン』で引用していて、それを桜井和寿が絶賛していて…というきっかけで読んだ。70年代の詩集の筈なのに全く古びていなくて感動。「世の中ってこんなところだよ たかをくくろうか」。どことなくJPOPな言葉使い。かの有名な「愛することは繰り返しである。繰り返し。繰り返し。繰り返し」もこの本。2021/01/02
仮名
4
初出一覧を見ると、様々な雑誌・新聞・写真集・歌詞・パンフレットなど、いろんな媒体で掲載されていて、谷川さんがとりわけ精力的に活動していた(働き盛りだった)頃の作品群なんだろうなと思う。谷川さん自身もあとがきでこの詩集をパッチワークになぞらえていて、多彩な色合いは掲載元の性格の違いによっているのかもしれない。名作『地下鉄南阿佐ヶ谷附近一九七四秋』が収録されているのはこの本です。あと『なくしもの』も個人的に大好き。2012/07/14
Takao
3
1979年11月15日発行(1983年2月15日)。「きみに」という詩がすきで本書を求めたのがもう30年以上前のこと。改めて読み通してみて、詩人の紡ぎ出す人生や世界の断面にハッとさせられる。「どんなに目をみはっても未来は見えないのに/子どもらの体の中に明日は用意されている」(「明日」)。巻末の「初出一覧」を見ると、1970年代を中心に1959年から1979年にかけての作品を収録している。2017/01/01
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