出版社内容情報
澤田瞳子氏 絶賛
「ただ、心から愛しただけだった。乱世を生きた人々の哀しいほど澄んだ思いが、時代を越えて我々の胸を強く締め付ける」
時は戦国。茶々(淀殿)は幼い頃、住んでいた城を信長に落とされた。
父が自害に追いやられるも、生まれた時から共に育ってきた大野治長に守られ、逃げることができた。
治長は茶々を一生守ると誓い、茶々も彼にそばに居てもらいたいと願う。
その後、ふたりは柴田勝家の元に身を寄せたが、今度は秀吉に城を攻められ、茶々の母が自害する。
そして二度目の落城を経験した茶々は、秀吉に側室になれと言われてしまい……。
二度の落城。許されぬ裏切り。家康の脅威。
運命に翻弄されながらも、互いを思い合う茶々と大野治長の姿を描く、歴史恋愛小説。
【プロフィール】
佐藤 雫 (さとう・しずく)
1988年、香川県生まれ。2019年、「言の葉は、残りて」(「海の匂い」改題)で第32回小説すばる新人賞を受賞してデビュー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さつき
72
淀殿と大野治長のあったかもしれない悲恋。ラブストーリーを読みたい気分だったので手に取りましたが、やっぱり私には向いてなかったです。主役の治長があまりに恋愛脳すぎて引いてしまいました。秀吉や家康の言葉も甘すぎて、読んでて勝手に恥ずかしくなってしまう。信長の血筋の貴種として、茶々が政争から遠ざけられ、世間知らずになる様子はさもあろうと思いました。真田信繁は爽やかで頼り甲斐ある友人として登場しました。2022/07/06
がらくたどん
58
血なまぐさい鎌倉の実朝と信子、天然痘に蹂躙される江戸の洪庵と八重。佐藤雫氏が描くと益荒男な血と闘いの歴史は愛の物語になる。本作はデビュー2作目。充分に生臭い戦国の浅井滅亡から豊臣崩壊までに材を採り、それでも描くのは合戦や謀略の妙ではない。茶々姫とその乳母子大野治長の悲恋に茶々を側室として迎え後嗣を残させた秀吉とその永遠の「妻」であった寧のそれぞれの愛を絡めて描く。茶々と治長の関係は純愛と呼ぶには生々しく邪恋と呼ぶには清らかに時代の波に弄ばれるが、共に居たいという我儘にも似た覚悟が胸を打つ。愛の歴史劇場♪2023/08/04
森の三時
47
本書は戦国の身分違いの悲恋、合戦や武将の武勇伝ではない、恋をする秀吉、茶々と大野治長を描いています。時代小説は誰の視線で描くかで見え方が変わるものだと思います。源氏物語だって貴族の生臭い政治よりも男女の機微に焦点が当てられているのだから。「言の葉は、残りて」で血生臭い鎌倉の権力闘争を実朝と御台所信子のときめき小説に変えてくれた作家さんならではのナイーブで情緒的な表現がありました。幼き恋の行方は、豊臣家の滅亡を知っているので切ないです。脇を固める寧や治長の妻小枝、真田信繁(幸村)のエピソードも良かったです。2023/04/15
けんさん
42
『苦難の先の幸せの場所を求めて…戦国純愛物語』 秀吉の側室 茶々と乳母子 治長の悲しくも美しい純愛を描いた歴史小説風ラブストーリー。置かれた時代の中で、様々な困難を乗り越えながらも、決して実ることのない愛の行方は… こんなドラマを想像すると、歴史の見方が変わりますね!2022/08/23
b☆h
41
『言の葉は、残りて』に続いて二作目。豊臣秀吉の側室となる茶々と、茶々の乳母子の治長。二人が戦に翻弄されながらも、互いを想い合う姿に何度も涙を堪えた。愛する人と幸せになることが許されず、〝そうする他にない…〟と運命を受け入れる姿は読んでいて辛かった。ただ側にいる幸せを求めた二人が辿り着いた結末は、幸せな結末とは言い難い。それでも、今出来る中で一番良い道を掴み取ったのだと思いたい…。2024/03/20
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