出版社内容情報
中嶋京子 仲島京子 仲嶋京子 中島恭子 中島響子 中島杏子 中島今日子 小さいおうち 長いお別れ 夢見る帝国図書館 近未来 近未来小説 SF SF小説 ベンジャミン 種の名前 ふたたび自然にもどる時 赤ちゃん泥棒 チョイス
内容説明
すぐそこにある未来は、こんな奇妙なものかもしれない。廃墟化した高層マンションの老人が消えるわけ、汎用型AIが人を超えた時に起こる異変、アグリビジネスがら逃れた種の行き先。『小さいおうち』『長いお別れ』の著者が贈る初の近未来小説。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
435
6篇を収録する短篇集。いずれも「小説すばる」に掲載された近未来SF。「ベンジャミン」は途中で結末がわかるが、それでも面白い。「ふたたび自然に戻るとき」は、軽妙な語りの中にも厳粛さを持つ。表題作「キッドの運命」が最もSFらしいか。「種の名前」は環境問題、とりわけ自然食をとり上げる。「赤ちゃん泥棒」は、生命の問題だがやや荒唐無稽。「チョイス」は軽い筆致で恐ろしいことを語る。全体に通底するのは私たちが生きる世界の宿痾である核汚染の影。また、いずれの物語も心の奥に潜む感情を掘り起こしたり、心の琴線を震わせると⇒2023/02/04
starbro
269
中島 京子は、新作中心に読んでいる作家です。著者の新境地でしょうか、十分ありえそうな近未来SF短編集、粒揃いでした。オススメは、『ベンジャミン』&『種の名前』です。2019/12/24
旅するランナー
198
近未来SF6編。失われたものと失われようとしているものへの愛着・執着・決着が静かな語り口で描かれます。人類がどうしようもないアホな世界。香港の現状を予言したような描写など、中島京子の描く世界は、僕たちを待ち構えている、そう遠くない未来なのかもしれない。そして、読者は6つの挿画を見返して、物語の世界と失われた未来をしみじみ思い返すのです。2020/01/28
fwhd8325
149
これは驚きました。SFでした。どうも想像力が鈍いのでSFの世界には、なかなか入り込むことが難しいのですが、中島さんのSFはすぐそこにある世界。すでに少し顔をのぞかせているような世界でした。「種の名前」「赤ちゃん泥棒」がとても面白いと思いました。2020/09/07
修一郎
146
中島さんが,現在の身の回りで起こっている出来事をベースに自分の心配や期待やらを膨らませて,こんな未来を考えてみましたという6編だ。男も人工子宮で妊娠出産を選べるとか,選択肢が増えていく未来はウェルカムだけれども,自分の寿命を管理されてしまうような管理未来社会はノーサンキューだ。提示された未来のお気に入り順番;①種の名前 ②赤ちゃん泥棒 ③ベンジャミン ④キッドの運命 ⑤再び自然に戻るとき ⑥チョイス 2020/01/19