出版社内容情報
女犯僧らしき流人と懇意になってしまう八丈島の娘、江戸に逃れて夜鷹となった軽井沢宿の飯盛女。天明六年正月元日に起きた皆既日蝕を、見ることなく没した男女の、鬼気迫る五つの暗黒物語。
花村 萬月[ハナムラマンゲツ]
内容説明
女は軽井沢宿で飯盛女をしていたが、江戸に逃れて夜鷹となり、唐瘡に罹ってしまう―「千代」。歌舞伎の戯者になることを希う男児は、京から下り、希望とは裏腹に江戸の陰間茶屋で育てられることに―「吉弥」。貧乏長屋に住み、町芸者に入れ込んで借金を背負った浪人の男は、女房の不義密通を疑うのだが―「長十郎」。八丈島に住む娘は、御用船で送られてきた女犯僧らしき流人と懇意になる―「登勢」。濡れ衣の人殺しで入牢した男は、覚悟の準備をするのだが、そこで地獄の光景を目にし、自らも責問を受ける―「次二」。鬼気迫る五つの暗黒物語。
著者等紹介
花村萬月[ハナムラマンゲツ]
1955年東京生まれ。1989年『ゴッド・ブレイス物語』で第二回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。1998年『皆月』で第一九回吉川英治文学新人賞を受賞。同年、『ゲルマニウムの夜』で第一一九回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
387
うぐわぁぁぁぁ。でもそれだけじゃないところが、萬月さんの「さすが」なんだよなぁ。2019/08/31
starbro
145
花村萬月は、ほとんどの作品を読んでいる作家です。本作はエロス控えめですが、天明六年正月元日の皆既日蝕に引き込まれる様に運命を翻弄される男女の物語、花村萬月の妖しげな世界炸裂です。オススメはいずれもマニアックなリアリティ観満載の「吉弥」と「次二」です。花村萬月未読の方には、推奨しませんが・・・【読メエロ部】2016/09/29
いつでも母さん
101
天明六年正月元旦日食皆既・・五人のその日その時、花村萬月が綴る絶命の連作短編。暗く哀しくなんてサラッとは言い尽くせない。さすがの花村萬月だった。なかでも『吉弥』と『登勢』は苦しかった・・女も男も『死』だけは必ず平等に訪れるが、こんな最期は救いもない。読後は重い・・お薦めは出来ないなぁ・・今、楽しんで日食を観ることが出来る幸せを噛みしめる。2016/09/20
GAKU
78
千代、夜鷹、梅毒。吉弥、陰間養成。長十郎、浪人、切腹。登勢、島流し、堕胎。次二、飢饉、拷問、牢獄。天明六年元旦の皆既日食が最後の日となる、男女5人の時代短編集。どれも暗く、悲惨で救いようのない話ばかり。花村萬月さんは大好きな作家で、初期の作品は殆ど読み漁っていました。久しぶりの氏の作品。しかも初めての時代小説。以前にも増しての重くて、暗い、圧倒的な迫力。特に「吉弥」が凄かったな。痛々しすぎる。中途半端な気持ちの時に読んだら、間違いなく落ち込むね。簡単に人には薦められない要注意の一冊。やはり花村萬月は凄い!2017/08/12
ひらちゃん
47
皆既日食の日に還らぬ人となる短編。酷い最後があまりにも残酷で途中で断念しました。やりきれない気持ちに苛まれ…。初読みでしたが、他の作品もこんな感じなのかな。2016/09/15
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