出版社内容情報
震災のため原発四基がすべて爆発した! 放射能警戒区域で発見された少女「バラカ」。ありえたかもしれない世界で蠢く男と女、その愛と憎悪。超大なスケールで描かれるノンストップ・ダーク・ロマン!
内容説明
震災のため原発4基がすべて爆発した!警戒区域で発見された一人の少女「バラカ」。ありえたかもしれない日本で、世界で蠢く男と女、その愛と憎悪。想像を遙かに超えるスケールで描かれるノンストップ・ダーク・ロマン!
著者等紹介
桐野夏生[キリノナツオ]
1951年金沢市生まれ。成蹊大学卒業。1993年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞。1998年『OUT』で日本推理作家協会賞。1999年『柔らかな頬』で直木賞。2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞。2004年『残虐記』で柴田錬三郎賞。2005年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞。2008年『東京島』で谷崎潤一郎賞。2009年『女神記』で紫式部文学賞。2010年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞。2011年同作で読売文学賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
354
桐野夏生は、ほとんどの作品を読んでいる作家です。図書館の予約に出遅れた訳ではないですが、システム変更休館の影響でようやく読めました。桐野夏生なので単純な震災小説はないと思っていましたが、桐野夏生ワールド炸裂、怒涛の650P一気読みでした。最初バラカって何かなと考えていたら、「イスラム教で,預言者や聖者にアッラーが授ける超人的能力(祝福)に由来する人身売買される子供達の呼称」だったんですね。全く想像つきませんでした。本作は桐野夏生版、地獄の黙示録といった感じです。今年のBEST20候補としたいと思います。2016/06/21
まちゃ
210
幼児売買、東日本大震災、原発事故による放射能汚染と多くのテーマを盛り込んで650頁もの圧倒的スケールの長編を描いた桐野さんの力量に感心しました。身勝手な大人たちに翻弄されるバラカ(薔薇香)を援助する「爺さん決死隊」、健太と康太の存在が救いでした。ノンストップ・ダーク・ロマンを堪能しました。2016/08/08
ナイスネイチャ
207
図書館本。重松清著「希望の地図」の後、震災関連続いてしまった。こちらはフィクション全開かな?人身売買や新興宗教など盛りだくさんの内容で読了に時間がかかりました。読みごたえあり、重厚な物語でした。2016/10/06
jam
148
分岐したもうひとつの世界を描くが、大震災以前から似て非なる世界は始まっているようだ。地球における生態系の危機は何度かあったようだし、それは、人の意思を軽々と超える領域である。その前では私たちはただ佇むしかないし、それさえも許されない時が来るのかもしれない。ここでは、大震災後の世界を生きる少女バラカを希望の象徴として描いているが、バラカ以外の人物も、現代社会の暗喩、象徴として描く。人は、人の器の中でしか存在の意味を確認できないが、圧倒的な力の前でも、人であることの意味を知ることが智であり、愛なのだと思う。2016/06/14
修一朗
143
久しぶりの桐野夏生さん。650ページにわたる大作で描かれるのは,ベビースーク,原発統制社会,カルト,レイシズムにミゾジニーと,不安と悪意を目いっぱい詰め込んだディストピアだ。震災をテーマとした小説はいくつも読んだけど,そのどれとも違っていて,想像力を悪い方に振り切って作り上げた世界。現実よりも厳しい,けど全くの荒唐無稽とはいいきれない世間が次々に登場する。カワシマのとんでもモンスターぶりも凄いが,バラカを取り巻く他の人間もこれまた醜悪だ。賢すぎる10歳バラカの人生に降りかかった濃密な悪意を堪能した。2016/05/11
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