出版社内容情報
富山の滑川駅前に残された一台の自転車。秘密を遺したまま逝ってしまった父。十五年後、父の足跡を辿るため、娘の真帆は、自転車で小さな旅に出る…。予期せぬ出会いが待っている、傑作長編小説。
内容説明
絵本作家として活躍する賀川真帆。真帆の父は十五年前、「出張で九州に行く」と言い置いたまま、富山で病死を遂げていた。父はなぜ家族に内緒で、何のゆかりもないはずの富山へ向かったのか―。長年のわだかまりを胸に、真帆は富山へ足を向ける。富山・京都・東京、三都市の家族の運命が交錯する物語。
著者等紹介
宮本輝[ミヤモトテル]
1947年、兵庫県神戸市生まれ。広告代理店勤務を経て、執筆活動へ。1977年「泥の河」で太宰治賞を、翌年「螢川」で芥川賞を受賞。著作に『優駿』(吉川英治文学賞)『約束の冬』(芸術選奨文部科学大臣賞文学部門)『骸骨ビルの庭』(司馬遼太郎賞)など。2010年秋、紫綬褒章受章。1996年より、芥川賞選考委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
147
宮本輝は数十年にわたってコンスタントに読んでいる作家の一人です。北陸新幹線で注目を浴びている富山県を舞台とした長編小説で、 宮本輝ワールドが展開して行きます。ホタルイカ漁や華やかな観光資源ではなく、まさに富山の美しく懐かしい田園での濃密な人間ドラマです。トータルの感想は下巻読了後に。2015/04/27
相田うえお
136
★★★☆☆18013 宮崎でゴルフをするといって出かけた父親は富山滑川駅改札口で急死。九州にいるべき父親がなぜ富山に?自転車で駅にやって来たらしいが何をしていたのか?父が残した沢山の不可解事。。。絵を描く事を仕事にしている娘は「あるところに行ったら、ゴッホの『星月夜』にそっくりの夜に出会えるぞ」と、父の言った場所を見たくて15年経ったいま、あるきっかけで富山に行くことに。。みたいな始まりです。第3章なのにもうこんな事書いちゃっていいの?と心配になるのですが話のメインはそんな事ではないのかも。では下巻へ。2018/02/12
あすなろ
112
旧北陸街道に明るい秋の光満ち、遠くに立山連峰のつらなりが鮮明に見え、近くからは潮の騒ぎが一定の間隔で響く。そんな富山の描写の中、宮本氏らしい、どこか剽軽で汚れた性分なく溌剌として感受性に富んでいる、様々な人間模様を描き加えていく。ゴッホの星月夜と共に。さぁて、どう展開するのか?兎に角、心への清涼剤と成り得て、富山と人物への思慕を募らせたところで上巻は読了となった。2015/07/23
じいじ
110
読み始める前は、装丁・タイトルからファンタジックな小説をイメージしていた。いい意味で想像を覆すミステリー色の匂い漂う幕開け。九州・宮崎のゴルフ場へ接待ゴルフで出掛けたはずの父(会社社長)が、富山で突然死の知らせが…。女の影がちらつく父の謎の死の真相を求めて娘が動き出す・・・。〈下巻へ〉2018/03/05
Mumiu
85
自転車メーカー何代かのむすめで絵本作家真帆、富山で美容師をやっている女性、餞別代わりに自転車がほしいといった千春。ちょっとずつ自転車に縁があって、女たちもちょっとずつ重なったりすれ違ったり。おだやかな風景と展開。まだ海は凪いでいるようだ。星月夜の光景、いつか出会えるだろうか。2015/08/10
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