眠る魚

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  • サイズ B6判/ページ数 229p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784087715699
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

東日本大震災後。父の訃報を受け、南太平洋の島から故郷に一時帰国した彩実。放射線被害に対する海外の情報との温度差、保守的な家族たちに違和感を覚えるなか、奇妙な風土病の噂を耳にして…。渾身の遺作。

内容説明

2011年3月11日。日本から遠く離れた南太平洋のバヌアツにも、地震による津波警報が出されていた。旅行ガイドや通訳をしながらこの島に暮らす伊都部彩実は、そのしばらく後、実父の訃報を受けて一時帰国する。放射線被害について海外メディアが報じる危機感に反比例するかのような日本の実像、また、相変わらず保守的な家族たちの思考と言動に噛み合わない思いを抱きながら日々を送るうち、「アオイロコ」という奇妙な風土病の噂を耳にする。父の遺言で、母が亡くなった後に父が交際していた女性に、代々の土地家屋を明け渡すことになり、思いのほか動揺する彩実。国に縛られない自由な生き方を望んで海外に飛び出したはずなのに、戻る場所を求めている自分に気づく。そんな折、口中の腫瘍が悪性と診断され、即刻入院となり、期せずして日本に留まることになるのだった―。

著者等紹介

坂東眞砂子[バンドウマサコ]
1958年3月30日~2014年1月27日。高知県高岡郡佐川町生まれ。奈良女子大学家政学部住居学科卒業後、イタリアのミラノ工科大学などに留学。96年『桜雨』で第三回島清恋愛文学賞受賞、97年『山妣』で第一一六回直木賞受賞、2002年『曼荼羅道』で第一五回柴田錬三郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

すこにゃん

79
舌癌で逝去された著者が最期の力で臨み、半ばで力つきた未完の絶筆作品です。海外生活を経て最期を故郷で迎えた筆者は故郷を母の子宮に重ねる一方で、命に対する強い執着を滲み出しています。福島第一原発事故後の放射線汚染に対する過剰なまでの危機感は、発癌して余命を宣告された己の悲しみや怒りを表現したのだと感じました。無意識に被爆してゆく人々の姿を、夜間に光に照らされても動かぬ眠る魚に例えたのでしょうか。他の作品も読まねば。2014/11/23

ちゃとら

61
選んだ本が違ってました🙇‍♀️ナイスしてくださった方、疲れていたいとはいえ失礼しました。 坂東眞砂子さん。バヌアツで3、11を知るところから始まる。 ホラーとは違う怖さがあり、55 歳で亡くなった著者の絶筆作品だった。本書の中の主人公も同じ病になり、病院生活も妙にリアルに描かれていた。この先で描きたいことがあったのだろうと思えた終わり方だった。2020/02/20

らむり

56
謎の風土病や奇形植物。東日本大震災での原発事故による女性主人公の被害妄想がすごい。ラストはちょっと残念だけど、十分引き込まれるお話でした。2014/06/21

Yuna Ioki☆

48
616-225-12 坂東眞砂子作品初読み。絶筆の上に途中で終了しているので中途半端なのは仕方がない。自分の体験を書こうとしたのかなあ。2014/07/15

キムチ

41
旅路にて借り、一気読み。微かにに筆者の夭逝が脳裏にあったとはいえ、当作品が絶筆とは知らなかった。そのせいか筆者の心象が我が身にオーバーラップし、読み易かったように思える。私も南米の異国にあり、ヒロインも事実婚の若い男性に逃げられ、因習の立ち込める日本で思いがけぬ父の遺書の内容に振り回される。得体の知れぬ風土病?に取りつかれ、病の身になり、行く末に灰色の空気が立ち込めて行くところで終わる。「慣性の法」に縛られる日本のあり様にかなり囚われる展開だが人が住む所には何処もあるように思われ、その辺は今一、共感できず2014/06/13

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