出版社内容情報
中学になじめず、保健室登校をしているサエとナツ。そこは二人の楽園だった。しかしサエが急に“クラスに戻る"と言い出して──。中学生女子の生きづらさと、かすかな希望を丁寧に描き出す連作短編集。
内容説明
昼下がりの保健室。そこは教室に居場所のないサエとナツのささやかな楽園だった。けれどサエが突然“自分のクラスに戻る”と言い出して―(『ねぇ,卵の殻が付いている』より)。“お父さん、お母さん、先立つ不孝をお許しください”。早朝の教室で毎日手帳に書いていた架空の遺書。その手帳を偶然にも人気者の同級生が拾ってしまう―(『死にたいノート』より)。揺れ動く6人の中学生の心を綴る6つのストーリー。
著者等紹介
相沢沙呼[アイザワサコ]
1983年、埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。11年3月「原始人ランナウェイ」が第64回日本推理作家協会賞(短編部門)候補作に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やっさん
237
★★★☆ 遺書を日々綴る女の子を救おうとする話には、思わず目が潤んだ。中学生は学校という狭い枠にこだわらないといけないから苦しいと思う。親も学校も〝逃げる〟ことをもっと教えるべき。大人だって逃げるんだから。2018/03/05
風眠
197
死んだらみんな悲しんでくれるのかな・・・もしも自分が死んだら・・・半分本気で、半分冗談。戯れに不幸を夢見る年頃。中学生という壊れやすい繊細な思春期の女の子たち。「どうして学校に行かないといけないの――」憂鬱と倦怠と揺れ動く心を描いた短篇集。不幸になることで注目されたいという、この独特なヒロイン願望は、中学生という年頃の女の子ならたぶん、程度の差はあっても誰もが一度は想像することなんじゃないかな。相沢沙呼さんて、てっきり女性かと思っていたら、男性作家さんだったなんて。女の子の複雑な心理描写とか、上手すぎ!2014/06/21
黒瀬
190
己の中に巣食う嫌いな部分。それらを抱えながら学校という狭いコミュニティで円滑に暮らすべく、いじめや仲間外れ、スクールカーストに向かって必死にもがく学生たちを描いた短編集。共に保健室登校をしていた友人が先にクラスへ戻ると言う『ねえ、卵の殻が付いている』と自分は要らない子だと思い、学校へ行く理由が分からない『雨の降る日は学校に行かない』が印象的。唯一ボーイミーツガールの雰囲気が漂う『好きな人のいない教室』も良いですね。たかが学校。されど学校。自分にとって必要でないと感じるなら別に行かなくても良いと思います。2020/04/26
ダイ@2019.11.2~一時休止
157
女子中学生が主人公の短編集。男性作家なのに、こんな女性心理メインの話を書かれるのにビックリ。2014/07/23
ムーミン
150
見えないところで苦しんでいる子たちにこれまでたくさん出会ってきました。少しでも早い段階で、どれだけ気付いてあげられるか、寄り添ってあげられるか。誰もが自分らしさを堂々と表現できる世の中になるために、今の自分にできることを地道に取り組んでいきます。2021/03/13