出版社内容情報
善き人たちのつながりに、舞い降りる幸福の連鎖。
志乃子が貰いうけた骨董品の手文庫には、小さなリュックサックと、1946年に北朝鮮から決死の逃避行を試みて帰国した家族の手記が…。持ち主を探し始める志乃子に、数奇な運命が連環する。時が紡ぐ豊穣な物語。
内容説明
志乃子が貰い受けた手文庫には、小さな手縫いのリュックサックと、1946年に北朝鮮から決死の逃避行を試みて、三十八度線を越えて帰国した家族の手記が入っていた。命を賭けて困難に立ち向かう人々の歴史。数奇な運命が連環し、志乃子は持ち主を探しはじめる…。ひたむきに生きる人々の喜び、哀しみ、怒り、そして祈り―善き人たちのつながりに舞い降りる、幸福と幸運の連鎖。奇跡のような出会いの物語。時が紡ぐ豊穣、感動長編。
著者等紹介
宮本輝[ミヤモトテル]
1947年、兵庫県神戸市生まれ。広告代理店勤務を経て、執筆活動へ。1977年「泥の河」で太宰治賞を、翌年「螢川」で芥川賞を受賞。ひたむきに生きる人間の姿を、鮮やかな人物描写と洞察で描き出す。『優駿』(吉川英治文学賞)『骸骨ビルの庭』(司馬遼太郎賞)など著書多数。2010年秋、柴綬褒章受章。1996年より、芥川賞選考委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
宵待草
129
ヒロインの志乃子は五十代の主婦、閉店する喫茶店オーナーの骨董品を貰う処から、平凡な主婦であった志乃子に大きな転機が訪れます。入手した骨董品が紡ぐ新たな出逢いの中で、一人の人として女性として、志乃子が成長する過程は嬉しく、心地よく読めます。『人は良い環境の中にいれば物事は形を変えていい方向に向かっていく』と云うフレーズもとても心強い!私の好きなロダンの格言『石に一滴一滴と喰い込む水の遅い静かな力を待たねばなりません』を文中に読んだ時には、とても嬉しく成りました。2020/06/16
chikara
125
幸福感に包まれながら書いています。水はりんご牛と成る事も可能で、様々な形に変わりながらも水で在ることを止めない。「水のかたち」はそう解釈してもいいかな。いつも思うのだが宮本作品の読後は感動ではなく、感謝の気持ち、読んで良かったと思わせる。2014/09/16
J D
87
宮本輝らしさ溢れる作品でした。なんだか勿体ぶったようなあの感覚。好きだな。「水のかたち」この小説をよく表した題名だと思う。読みながら老子の上善水の如しだなと思い、宮本輝もそれを意識したに違いないと思った。志乃子の水のような柔らかなそして謙虚な姿勢。「どんな人間も舐めてはいけない」という志乃子の言葉は宮本輝からのメッセージ。「自然にすなおで、自然に謙虚で、自然に礼儀正しい」志乃子の生きる姿勢にわが身を振り返った。あぁ~、上善水の如しだな。ここに登場する人たちは自分の人生を自分の力でしっかりと生きていた。2026/08/04
藤枝梅安
80
終戦後、北朝鮮から150人を乗せた船で38度線を越えた「横尾文之助」さんの話を軸に、それに関わる人々を探す志乃子。誠実さが人を動かし、彼女の人生に新しい展開が開けていく。「主婦」であることの強みを生かして、あちこちに出かけるうちに、今まで気づかなかった夫の強さを再認識する。誠実に生きることの難しさ、家族や知人を大切にすること。綺麗な水のように体と心に沁み込んできて、人生の基本を再確認させてくれる小説。「人と人の繋がり」を描く現代の「教養小説」とでも言えるような作品でした。(コメントに続く)2012/12/23
ぶんこ
63
善き人には善き幸せが訪れ、繋がっていく。 それを北朝鮮から引き揚げてきた一家の存在を絡めて書き上げたそうです。 色々と突っ込みたい部分があるのは、私の邪な心でしょうから、ここは素直に受け止め、感想には記さないでおきます。 「綺麗な心によって生み出されたのだから、綺麗な心その物なのだ。 それらは物であって物ではなく、心なのだ」の文を読んだときに、心がスッ〜としました。 正直に素直に、身の丈にあった生活が一番幸せなんだなぁ。 ご主人の琢己さんが素敵でした。 2015/07/06




