葉桜

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  • サイズ B6判/ページ数 247p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784087714180
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

書道教室で生まれた、長い長い片想いの行方
小学生の頃から通う書道教室の先生に、長い片想いをしている佳奈。けれど先生には奥さんがいて……。春から夏へと移りゆく季節のなかで、ひとりの少女の成長を繊細に紡ぎだす長編青春小説。

内容説明

高校生の佳奈は、書道教室の継野先生へ思いを寄せてきた。けれど、先生には由季子さんという奥さんがいて…。美人で天才、自由奔放な妹の紗英が背負っている、命の不安。他の教室からやってきた津田君の、真摯に書道に打ち込む姿。周囲の思いに背中を押されるように、佳奈のなかで何かが大きく変わろうとしていた―。春から夏へ、少女から大人へ。まぶしく切ない青春恋愛小説。

著者等紹介

橋本紡[ハシモトツムグ]
三重県伊勢市生まれ。1997年『猫目狩り』で第4回電撃ゲーム小説大賞金賞を受賞し、作家デビュー。『半分の月がのぼる空』など、数々の人気作品を生み出す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kishikan

188
「実ってなくても、恋は恋でしょう。」忘れかけた青春の1ページ。何気ない日常の中で、でも熱くて熱くてたまらない日があったことをきっと誰もが思い出すでしょう。季節感といい、情景といい、華やかさはないけど静かで美しさに満ちた文章がこの本には満ちている。それに書道という珍しいモチーフを用いてるから、言葉のひとつひとつの意味が心に沁みてくる。高校生佳奈の既婚者への恋心は、例え実ったとしても綺麗な形では終わらないと本人も分かっているはず。だからこそ、思いを伝え合う和歌のやりとりのシーンが切なく愛おしい。これは名作!2012/04/29

そのぼん

111
青春だなぁ…。女の子の淡い初恋を描いた物語でした。 途中、少しドキッとする部分もありましたが、大部分は淡々と、優しくストーリーが進んでいったので、安心して読めました。2012/06/20

おかむー

88
これまで読んできた本のなかでも特筆すべきじわじわと心に食い込んでくる何か、常に薄絹を挟んだような柔らかい描写に潜在する悲しみと激しさは鮮烈な読後感が長く後に残る。『たいへんよくできました』。妻のある書道教室の先生に思いを寄せる主人公・佳奈、十七歳で死ぬ宿命と言われる神童の妹・紗英。物腰柔らかい先生の秘めた闇と妻との柔らかい関係、宿命に惑う妹へのコンプレックスと愛情、佳奈の打ち込む『書』を介した物語は全体に漂う静けさのぶん、やるさなさやせつなさが深々と染み渡る。墨をすることで書に集中する描写が秀逸。2014/10/18

ひめありす@灯れ松明の火

81
何年たったら、この恋を痛みや切なさを伴わず穏やかな気持ちで思い出すことが出来るのだろう。何年たったら、この夏の激しく一途な出来事を、なされなかった想いの果てを笑って思い返すことが出来るのだろう。決して届かぬ人に恋をした。ブラウスについた墨のように淡く小さく、けれど決して消えなかったその想い。秘めては満つる恋心を、筆に乗せて。古の恋の歌を、ぶつけるように書き散らしたその夏の終わり。愛しい愛しいと告げる歌と、やんわり拒絶する歌と。そのやり取りが、先生が最後に教えてくれたこと。葉桜の様な、相容れぬ恋でした。2011/12/10

七色一味

76
読破。「書」という「静」かつ「動」の世界を背景とした、大人の男性に憧れる一人の少女の姿を、静かな抑えた筆致で著した純文学。半紙に書かれた和歌による相聞と返歌は平安時代貴族を彷彿とさせる。妹の今後に含みをもたせた終わり方なども純文学を意識した部分があるのか。作者が第4回電撃ゲーム小説大賞受賞者──所謂ラノベ系出身であるとは、この作品からはうかがい知ることもできない。2011/10/22

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