出版社内容情報
色川武大との交流を描く著者自伝的小説の傑作
女優だった妻の死後、アルコール依存、ギャンブルに溺れ、壊れてしまったボクは「いねむり先生」こと色川武大に出会う。“大きな存在"との交流の中で、再生を果たす。伊集院静自伝的小説の最高傑作!
内容説明
作家にしてギャンブルの神様、色川武大と過ごした温かな日々―著者自伝的長編小説の最高傑作。
著者等紹介
伊集院静[イジュウインシズカ]
1950年山口県生まれ。立教大学文学部卒業。CMディレクターなどを経て、81年『皐月』で作家デビュー。91年『乳房』で吉川英治文学新人賞、92年『受け月』で直木賞、94年『機関車先生』で柴田錬三郎賞、02年『ごろごろ』で吉川英治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やも
77
先日読んだ某作家さんが、この話の【いねむり先生】のモデルになっているそう!気になったので読んでみた。どこがどうって言えばいいのか分からないけど、ムンムン漂う人たらしな空気の先生。主人公の、なんだか無性に惹かれる先生への思慕が可愛くて…。誰かと一緒にいる、いたいって、損得や施しではないね。好きに理由なんてないんだよ。幽霊でいいからまた会いたい、のラストには目がうるっ。私も夢の中だけでいいから会いたい人がいるもの。2024/08/08
さと
59
伊集院氏の歴史の一コマを見せてもらった気がした。彼が書き続けるのは、先生と出会って自分自身の中に才能を見出したからというより壊れた自分を語り続けていいくことで生きる強さを見出したから そんな気がした。格好よくまとめようとか同情や憐憫を求めない潔さが 私が彼の作品を好む大きな理由だと改めて知った。2015/01/22
メタボン
50
☆☆☆★ かけがえのない人を突然亡くした悲しみはその人にしかわからない。そしてその悲しみがゆえに、時に自分が壊れてしまう。そんなつらい時期に、ただ笑顔で寄り添ってくれる人がいるだけで、どんなにか救いになるだろう。色川氏と伊集院氏にどのような交流があったかは知らないが、じんわりとした優しい気分になれた。「旅打ち」も良いものなのだろうな。2017/10/12
lonesome
43
人生、出逢いは巡り合わせ、めぐり逢いだなあと思う。先生がサブローくんサブローくんと友達として接してくれたことによってサブローが救われていったように、逆に先生もサブローに救われていただろう。民宿の主人とのやり取りとか、込み上げてくる場面が度々あって、残念ながら自分は色川武大先生の動いてる姿を拝見したことはないけれどその画が目に浮かぶようだった。作品からだけでなしに実際のその人の人柄に触れて人生の師匠と思える人と出逢えたならどんなに幸運なことだろう。2015/12/23
Y2K☮
38
直木賞作家・色川武大さんとの交友を描いた自伝的小説。色川さんといえば別名義で「麻雀放浪記」を著したギャンブル界のカリスマにして純文学の書き手。なのに謙虚で当たりが柔らかい。内側に重い苦悩を抱えていても全てを包み込み、みんなの心を安らかにしてくれる存在。Iさん(井上陽水?)が評した通りの「ごく普通の神さま」にして人生の達人でもあると感じた。才能がないと頑なに小説執筆を拒むサブローになんとか書かせようとする周囲の控え目な気配りも胸に染みる。著者はのちに直木賞を獲った。やってやれないことはない。なるようになれ。2022/07/06
-
- 和書
- 都市社会のアウトサイダー