出版社内容情報
鳩レースに導かれた、少年少女の成長物語
1980年代。家庭でも学校でも居場所のない小学校5年生のみなと。同級生の悟とつかまえたレース鳩がきっかけで、オランダ人の父を持つ女の子・ユリカに出会う。彼女は「町を出たい」と打ち明け…。
内容説明
転校してきたばかりの小学5年生のみなとは、学校になじめず、家では病的に潔癖症の継母につらくあたられる日々を過ごしていた。ある日の放課後、街中で会ったのは同級生の悟。悟は妙に大人びて、いろんなことを知っているクラスの物知り博士だった。ふたりは、偶然つかまえた迷子のレース鳩を、飼い主のもとに届けに行き、そこでオランダ人の父を持つ美しい少女・ユリカに出会う。ユリカはふたりに「この街が大嫌いなの」と打ち明け…。坪田譲治文学賞受賞作家が描く、小さくて大きな冒険。
著者等紹介
関口尚[セキグチヒサシ]
1972年、栃木県生まれ。1999年、茨城大学大学院人文科学研究科修了。2002年、『プリズムの夏』で第十五回小説すばる新人賞を受賞して作家デビュー。2007年『空をつかむまで』で第二十二回坪田譲治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミーコ
56
表紙を見て面白そう❗と手に取りました。が中々痛々しい内容でした。みなとの義母の虐待ぶりと異常な程の潔癖症…。父親の見て見ないふり。。。 悟とユリカ みんな問題を抱えています。子ども達が鳩を交えて成長して行く話だと思ってたら いきなり35歳に飛んでびっくり❣ 鳩レースは知らないけど 鳩がいたから築けた友情なんでしょう。後半、ユリカが余り出て来ないのが残念。麗子さんの落ちぶれた姿も衝撃的でした。義弟だった浩一君も何の為に生まれたんだか・・ 色々と考えさせられるお話でした。人生の後半に幸が有ります様にー。2017/06/17
ゆみねこ
45
悟とみなと、二人の少年と、美しいハーフの少女ユリカが出会い、鳩を育てレースに参加させる。前半の3人の冒険はかなりワクワクさせられ、タイトルの意味そのまま。後半は成人した二人の男のそれぞれの鳩レースへの思いと守るべき人への思い。馬は血で走る、鳩は血で飛ぶ、なるほどでした。鳩少年だったダンナに勧めてみようかな?2014/04/10
hirune
42
家庭に問題があり学校でも孤立する悟とみなと。仲間になることでそれぞれ成長し 大人になっていく。でも鳩が血統によるように、彼らも父親の問題を引き継ぐような人生を送って35歳、子供と向き合ってくれた悟の父と違って息子から目をそらしていた父を持つみなとの方が業が深いのかもしれないですね。自分が全否定していた父と同じ面が自分にあるのは辛いですから。同じ鳩レースに打ち込んでいても対照的な悟とみなとの人生、少しづつでも好転していくといいな。2018/06/13
takaC
29
二人は、本当の「仲間」なんだな。2011/06/19
衛兵
18
それぞれ心に傷を持つ2人の少年とハーフの女の子、3人はレース鳩を介してつながっていく。3人は家出を計画し、ついに実行するが…大人への一歩を踏み出す3人が、みんな健気でかわいらしくて。こんな時期も自分にもあったような、でも、ここまで行動力なかったなあと、懐かしく思いました。ユリカのモデルは宮沢りえさんかな?2015/09/08