出版社内容情報
内容説明
1920年から終戦まで日本の統治下にあったパラオ。そこには南洋庁という役所が置かれ、作家の中島敦をはじめ、日本から移り住む者も多かった。「楽園」と呼ばれた島で、日本人移民と現地島民が織りなす暮らし。そして「戦争」のリアルとは―。各地で拾い集めた、75年前の「日常」の証言。植民地支配の歴史を、そこに暮らした人々の視点から見つめなおすルポルタージュ。
目次
01 七十五年後の南洋へ
02 マリヤンを知るひと―パラオ放送局・山口さん
03 オフレコ―ニーナ・アントニオさん
04 マルキヨク、不思議な符合―アイライさん
05 二人の日本人―Morikawaと軍医
06 デレベエシール―パラオの日本語歌謡
07 パラオ再訪―ナビゲーター・ケルヴィンとの出会い
08 それぞれのパラオで―北原尾・工藤さん
09 少年兵だった―環野・久保さん
著者等紹介
寺尾紗穂[テラオサホ]
1981年、東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻比較文学比較文化コース修士課程修了。2006年に『愛し、日々』でシンガーソングライターとしてデビュー。音楽活動のかたわら、ノンフィクションやエッセイを執筆し、文筆家としても活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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ゆいまある
58
今日、昼間に着く飛行機でパラオに来ました。空から見るパラオは世界で一番綺麗な所(モルディブと張れる)。海の中は世界一。この国を、第一次世界大戦から第二次世界大戦まで、日本は統治し、強引に日本化しました。日本と共に戦争に巻き込まれ、沢山の人が死にました。パラオの島民より更に差別され、飢えたのが、連れて来られた朝鮮の人達(あと千年謝っても終わらないようなことしたんだなあ)。日本による植民地化で少し近代化もしたので、親日国と思われがちですが、安易にそう思わないこと。私達はこれから先二度とパラオを傷つけない。2019/05/01
おかむら
42
親日国と言われるパラオ。戦前日本の植民地だった時代を懐かしむ島民もいるとか。そんなノスタルジックに語られる裏の複雑な気持ちを島民に聞き取り。また日本から移住した人々にも聞き取り。戦争で暗転する南国の暮らし。支配と被支配。満州や朝鮮とは違うけど台湾に近いものを感じました。「山月記」の中島敦はパラオに役人として赴任していたそう。(著者の興味はここから)。あと、パラオにNHKラジオの放送局があったこと、熱帯生物研究所があったことなど、興味深い話題も。ぜひNHKスペシャルで深掘りして欲しいわ。2017/08/25
信兵衛
24
いつか、南洋のリゾート地としてではなく、かつて日本が統治した時代の面影を残すパラオを訪ねてみたいという気持ちになりました。2017/09/01
takeapple
21
台風で参加できなかったビブリオバトルで紹介しようと思った本。先週のNHK第一放送、「著者からの手紙」で紹介されていた。第一次世界大戦後、日本領になった南洋諸島パラオで、第二次大戦中どんなことがあったのか、著者が現在のパラオを訪れ、聞いた話、パラオからの引揚者が戦後開拓に入った北原尾や環野を訪ね聞いた話からなる良質なルポルタージュ。著者が愛して止まない中島敦の『南方通信』などからも、植民地支配や戦争に翻弄された人々の哀しみも伝わってくる。「現地の人の生の声を集めようと思えば、日本時代はよかったよいう話が」い2017/09/17
ヒラP@ehon.gohon
20
昨年パラオに旅行した時には、戦争の悲惨さとともに働く日本人の多いことと、親日感情の強さが印象深かったのですが、このような裏側も有ることを教わりました。 施設や風景が印象と被るので、読みやすかったです。 2020/01/10