出版社内容情報
内容説明
父がいた。母がいた。きょうだいがいた。シーナ少年が海辺の町で過ごした黄金の日々。『岳物語』前史、謎多き大家族の物語。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モルク
68
20年くらい前、シーナさんの本「岳物語」などの家族ものからちょいワルおやじっぽい釣りや冒険ものなど多数読んでいたから、ひさびさのシーナさんとなる。今回はシーナさんの幼少期~小学生時代の話。世田谷での裕福な幼少期から酒々井そして幕張へと移る少年期。ヤンチャな悪たれ坊主の典型のようなシーナ少年。父の死により子供には伝えられていなかった秘密を知ることとなる、その微妙な感じがただのガキじゃないぞと思わせる。それにしてもちっちゃい頃のことをよく覚えているなあと感心しジイジとなったシーナさんの孫との作品も読みたい。2017/12/19
モモ
53
椎名誠さんの幼い頃の思い出。読んだことはないが『岳物語』の前史なんだそう。三軒茶屋から千葉へ引越した頃からの話が面白い。千葉の幕張のかつての姿ー大きな干潟があって多くの生き物が生息し、浅草海苔の生産をしていた地域ーが埋め立てられていく様子に胸がつまった。家族みんなが揃い楽しく食事する風景が、亡くなったり嫁いだりで変わっていく様子がちょっと切ない。でも新たに加わる家族もあるから、それでいいのだ。続きも読んでみたい。2021/08/10
J D
43
シーナの子ども時代のお話。「カイチュウジルコ」や「イボキョウダイ」。シーナは子どもの頃から言葉の音に敏感に反応する能力を身に付けていたんだな。ここに書かれている話からいくつかの物語が生まれたんだろう。トロッコ、ドバドバソースに転校生。シーナがビール片手に語りかけてくれているような読み心地だった。2022/07/10
ぽてち
30
10代後半から20代半ばまでの頃、ほとんどの著作をむさぼるように読んだ作家・椎名誠。椎名さんの著作にはいくつかの流れがあって、特に好きだったのが紀行ものと私小説だった。なかでも『岳物語』シリーズは、掲載誌「青春と読書」(集英社のPR誌)を定期購読して読んだほど好きな作品だった。本書はその流れを汲む作品になる。モデルは自分自身で、幼いシーナ少年と自然に満ちた千葉の風景が描かれている。2020/10/24
フーミン
23
シーナさんの少年時代の回想。今作家となって少年の過ごした三軒茶屋から千葉の幕張で家族で過ごした思い出と複雑な家族の繋がりを回想する。 それぞれの短編のラストは余韻を残して終わっているけれど読み終えると全体のシーンが生き生きと繋がってくる。 感性豊かなシーナ少年を静かに見守るような情緒溢れる作品だった。2021/12/17