出版社内容情報
西洋と東洋の芸術を融合し、新しい陶芸の世界を切り拓いたイギリス人陶芸家バーナード・リーチ。日本を愛し日本に愛されたその半生を二代にわたり弟子となった名も無き父子の視点から描く感動長編。
原田 マハ[ハラダマハ]
内容説明
日本の美を愛し続けた英国人陶芸家、バーナード・リーチ。明治42年、22歳で芸術の道を志して来日。柳宗悦、濱田庄司ら若き日本人芸術家との邂逅と友情が彼の人生を大きく突き動かしていく。明治、大正、昭和にわたり東洋と西洋の架け橋となった生涯を描く感動の“アートフィクション”
著者等紹介
原田マハ[ハラダマハ]
1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部日本文学科および早稲田大学第二文学部美術史科卒業。馬里邑美術館、伊藤忠商事を経て、森ビル森美術館設立準備室に勤める。森ビル在籍時、ニューヨーク近代美術館に派遣され同館にて勤務。その後独立し、フリーのキュレーター、カルチャーライターへ転身。2005年、「カフーを待ちわびて」で第一回日本ラブストーリー大賞を受賞し作家デビュー。2012年、アンリ・ルソーの代表作「夢」にまつわるアートミステリー『楽園のカンヴァス』で第二十五回山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
521
12月の第1冊は、原田マハの新作です。バーナード・リーチの物語は初めてです。もう一人の主人公沖亀乃介(著者の創作)の青春譚でもありました。こういう無名の人間こそ日英の文化の架け橋だったんでしょうネ。明治後半~大正期の数多の文化人達がイキイキと躍動していました。直木賞候補としては少し弱いですが、「好い」佳作です。2016/12/01
サム・ミイラ
441
土と炎と人間の物語。師弟の愛情と時を超える親子の絆。芸術とはいったいなんなのだろう。人生の幸福とは。そのひとつの答えがこの本にはあります。英国と日本の架け橋にならんと日本を訪れた芸術家バーナード・リーチと彼に関わる人々のそれぞれの人生を穏やかに温かく紡いでゆきます。日本の近代芸術の礎を築いた人達もきら星のように出てきます。これ以上書くのは野暮。読んで下さい。涙を拭うため何度老眼鏡を外した事か。これは間違いなく朝のテレビ小説になるべき作品だと思います。某国営放送さんぜひお願いします(笑)2017/05/09
yoshida
407
日本文化に魅せられたイギリス人のバーナード・リーチは日本に渡り陶芸に出逢う。リーチを支える沖亀乃介。彼の視点から日本とイギリスを舞台にした暖かな物語が紡がれる。登場人物が皆、暖かく安定して読めます。後半は引き込まれ感動しつつ読了。自身も陶芸家を志す亀乃介。リーチを献身的に支えた亀乃介の旅立ち。亀乃介とシンシアとの別れ。高市とリーチとの邂逅。人の世の縁に気持ちが熱くなります。読了後、リーチ先生の写真と作品、特にジャグを見ると感動もひとしお。好きな事を目指し、成し遂げる姿は素晴らしい。読後感暖かな作品です。2017/03/18
ミカママ
405
民藝としての陶器たちが、外観はもちろんのこと、その手触りまで目に浮かぶような作品でした。陶芸への情熱、亀乃介のリーチ先生への献身と愛情。 マハさんの読みやすい文章で、最後まで引き込まれました。2017/05/22
hiro
293
イギリス人陶芸家バーナード・リーチの半生を架空の親子二代の目を通して描いた、原田マハさんお得意のアート小説。リーチと交流のあった濱田庄司、河井寛次郎、武者小路実篤、志賀直哉、岸田劉生、高村光雲、高村光太郎等の実在の人物との交流と、明治から昭和までのリーチの日本とイギリスでの生活を通して、リーチが愛した陶芸と当時の日本が見えてくる。460頁を超える長編小説だが、長さを感じず一気に読んだ。これからもこの作品や『翼をください』のイアハートのように、実在の人物にもう一度スポットを当てるマハさんの小説を期待します。2016/12/04