出版社内容情報
二編から成る物語。読む順番は自由。
あなたの選択で、結末が変わる。
「一冊の本」の概念を壊す道尾秀介、2年ぶりの新作。
35万部突破『N』を凌ぐ衝撃。
ホームレスの野宮と知り合った田釜は、元刑事だという野宮が語る幾つかの話に耳を傾ける。田釜も、野宮も、何かを抱えていた。(「ゲオスミン」)
硝子職人の律子と暮らす高校生の夕歌は、世間を騒がせた一家殺害事件の生き残りだった。彼女には誰にも言えない秘密があり……。(「ペトリコール」)
「本作は二つの章から成る物語です。読む順番は自由ですが、その選択により、結末は大きく変わります。どちらかの順番で読むと、二人の主人公を含め、多くの人が命を失います。別の順番で読むと、彼ら(彼女たち)は生き残ります。殺すか、救うか。あなたの選択が、人の生死を決定します。後戻りはできません。/著者より」
【著者プロフィール】
道尾秀介(みちお・しゅうすけ)
1975年東京都出身。2004年『背の眼』でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー。07年『シャドウ』で本格ミステリ大賞を、09年『カラスの親指』で日本推理作家協会賞、10年『龍神の雨』で大藪春彦賞、同年『光媒の花』で山本周五郎賞、11年『月と蟹』で直木賞を受賞。その他の著書に『向日葵の咲かない夏』『鏡の花』『いけない』『N』『きこえる』など多数。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
190
折角プルーフ本をプレゼントされたからには、道理としては猛烈な推薦文の様なレビューを書く責務を負ったものと考えるのが筋と言うものであるが、この本の特殊なつくりを鑑みるに一切内容に触れてはいけない気もするし、その様な条件下でレビューを書くのもあまりない事であるので、これはどう書いたら良いのですか。例えば…読む人によって作品の本質が変わる特別な本、ぐらいの事しか書き様がないじゃないですか。それは兎も角、読み始めたら一気読みしてしまう確率90%(推定)の良く出来た本である。2度読み推奨、理由は読んでみればわかる。2025/10/23
bura
100
デジタルプルーフ献本当選しました。ありがとうございます。大変面白くあっという間に読み終わりました。「ゲオスミン」と「ペトリコール」本作二章のタイトルはその物語を司る人間の絶望と希望を正に言い得ていました。片側から覗き込むと見事にその解釈が変わって読み取ることが出来ますね。物語そのものも深く突き刺さって来ました。両作とも心は濡れますが乾くか、ずぶ濡れになるかは確かに選ぶ読者次第です。私?どうやらうまく選べたようです。2025/10/27
yukaring
74
「誰が悪かったのか、何が悪かったのか」すれ違う思いや言動、登場人物たちの後悔が重くのし掛かる。そして読み手の選択次第では「救う」か「殺す」と結末が大きく変わってくる衝撃の1冊。一家惨殺事件の生き残りの夕歌、ツラい過去を抱え悩む医師の田釜。2人の物語はどちらから読んでも大丈夫だが、どちらを先に読むかによって…。ちなみにドキドキしながら読んだ私の初読みはバットエンド。結末のその先を予想するのが苦しく、早速2周目にチャレンジして「救い」のラストを体験。巧妙な仕掛けに舌を巻く、1冊で2度楽しめる体験型ミステリ。2025/10/31
mayu
69
デジタルプルーフをプレゼントしていただきまして、発売前に読ませていただきました。ありがとうございます。『N』の720通りに比べたら随分と分かりやすい2通り。いつも以上にネタバレできない。2編からなる物語を読む順番を変えるだけで、どうして結末が変わるのか。みなさんのネタバレレビューが楽しみだ。期間中に2通り読もうと思ってます。販促活動に役立たないレビューだな。2025/10/30
aquamarine
64
デジタルプルーフ版に当選し、お先に読ませていただきました。物語は二編からなり、読む順番によって結末の変わる「N」と同じようなつくり。こちらは二つしかないので選択は1ページ目だけ読んで直感で決めました。おそらく私の選択は救いがある方だったのだと思いますが、私としてはちょっと違う印象を持ちました。…それにしてもたったあれだけの工夫で、こんな風に変わってしまうとは驚きです。順序を変えて物語の変化を楽しみたく再読しましたが読む前の知らなかった私には戻れないので…。記憶が薄れたころ再読してみたいです。2025/10/29




