出版社内容情報
『トム・ソーヤーの冒険』『ハックルベリー・フィンの冒険(抄)』を同時収録! 指紋犯罪捜査の原点『阿呆たれウィルソン』、紀行文『赤毛布外遊記(抄)』等トウェインのマルチな魅力が満載。(解説/柴田元幸)
内容説明
トム・ソーヤーとハック・フィン、ふたつの冒険を同時収録!ほかにも世界初の指紋捜査小説やコミカルな紀行文など、アメリカ文学の金字塔たる、自由で多才な魅力がたっぷり。
著者等紹介
トウェイン,マーク[トウェイン,マーク] [Twain,Mark]
1835.11.30‐1910.4.21。アメリカ合衆国の小説家。ミズーリ州ハンニバルに育つ。11歳のとき父が死に、蒸気船の水先案内人をつとめるなど早くから社会に出るが、兄の創刊した雑誌で働き始めたのを契機に記事を執筆し始める。出世作「ジム・スマイリーの跳び蛙」(1865)が話題となり、以後南部・中西部などの庶民が使う口語を駆使した作品で、アメリカの近代文学に多大な影響を与えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
94
面白かったです。流石アメリカ文学が広まるきっかけとなり、文学の楽しみを味わわせてくれる作家の作品なだけありました。完訳と抄訳が半分ずつくらいだったので読み応えがありました。代表作『トム・ソーヤの冒険』の新訳が読めるだけでも価値があると思います。アメリカ文学を読むいいきっかけになる本ではないでしょうか。2016/04/17
ころこ
53
権力である知性には反対しバカにする一方で、自然と一体化する反知性主義のプロトタイプだというのがアメリカの国民文学たる所以ですが、それが可能なのは黒人差別のある社会が半ば前提とされていることが『ハック』では描かれています。アメリカにおける黒人差別は単なる人種差別以上の文脈を持っているのではないでしょうか。『阿保たれウィルソン』では「取り違え」により黒人差別があからさまにテーマとなっており、探偵役のウィルソンが行う逆転はやはり権力である知性に鼻を空かせますが、因果応報とはいえ「黒人」は川下に売られます。2022/01/20
アナクマ
26
(p.342)「それにさ、おれがまじんだったら、ふるいブリキのランプこすられたからって、じぶんのやってることほうりだしてそいつのところに行くなんて、ぜったいねがいさげだね」(『ハックルベリー・フィンの冒険』より)◉独立独歩の自由人だからね。2021/05/19
ぐるぐる244
15
【図書館】トム・ソーヤーの冒険/阿呆たれウィルソン/戦争の祈り トムソーヤは読んだことがなくて、柴田元幸さんの訳、ということで手にとったけど、脳内は世界名作劇場の再生になった。文学史的な重要性とか男の子たちには人気だったろうけど小学生の時の自分が読まなかった判断を褒めてやりたい。それよりも「阿呆たれウィルソン」(ガーディアン必読1000←この文句に弱い)や「ミシシッピ川の暮らし」「戦争の祈り」が素晴らしかった。トウェインは作家というより記者の立ち位置だったのではと思わされた。2019/08/23
テイネハイランド
13
図書館本。「阿呆たれウィルソン」のみ読了。編者の柴田元幸さんいわく、「人種問題を扱いながら、推理小説のような展開を持ち、何よりストーリー・構成がしっかりしていて読みごたえがあり、後期トウェインの最重要作品のひとつ」とのこと。各章の冒頭で引用されるウィルソンの言葉もウィットが効いて面白いですが、全体を通じて温かいユーモアというよりは、過酷な現実を反映してどこか落ち着かない不安感を煽ってくるところが、著者独特の世界かなと少し思いました。翻訳についていえば、中垣さんの訳は丁寧で読みやすいです(G1000)。2017/12/17